環境大臣がグリーンウォッシュを喧伝
分かりやすい最近の変化は、レジ袋の有料化。6月4日に成立した『プラスチック新法』の議論の過程では、スプーン有料化等にも賛否がありました。プラスチックはコストが安く加工しやすいなど便利な素材ですが、残念ながら海の汚染につながる。このままだと海の魚よりもプラスチックが増えかねない。そのような現実を理解いただき、脱プラ・脱炭素を生活の中に取り入れてもらいたい
何度でも繰り返しますが、レジ袋有料化は海洋プラスチック削減に1グラムも寄与しません。
そもそも、約一年前の会見で小泉大臣は「レジ袋をなくしてもプラスチック問題は解決しない」と明言されています。これはグリーンウォッシュと言えないでしょうか。
■小泉大臣記者会見録(令和2年7月3日(金)11:48 ~ 12:21 於:環境省第1会議室)
このレジ袋の有料化はそれ自身がなくなることでプラスチックの問題が解決をするとはそもそも考えてもいませんし、それは解決はしません。この目的は、レジ袋の有料化をレジ袋に限らず、プラスチック全体について持続可能な循環経済の在り方を考えるきっかけにしていただきたいと、それが我々の思いです。
もしも日本国内でのレジ袋やプラストロー、ペットボトルなどプラスチック製品の「使用量」削減が海洋プラスチック削減に寄与するのであれば、自治体のゴミ回収から廃棄物処理ルートのどこかでプラゴミを不法投棄・海洋投棄していることが前提となります。そんな自治体は全国どこにもありません。海洋プラスチック削減のために必要なのは、プラスチックの「使用量」削減ではなく、「海への排出量」削減です。
海洋プラスチック対策として最も有効なのはゴミを大量に海洋投棄している国や組織に止めさせることです。日本国内で買い物客がエコバッグを持ったり飲食店が紙ストローに代えても全く貢献しません。解決策は日本人のライフスタイル変革ではなく、国際交渉です。
海を汚している上位国はこちら。
環境省が毎年行っている海岸での漂着ゴミの調査はこちら。
漂着ゴミの内訳では漁網・ロープ、ブイ、漁具などで過半を占め、ポリ袋(レジ袋)はわずかです。
ペットボトル(上の内訳では15%~20%)の製造国別割合。
以上は環境省の発表資料です。小泉大臣が知らないわけがありません。
なお、ペットボトルの製造国別割合については、割合だけではなく絶対量も重要だと思います。バブルチャートのように円グラフの大きさを変えてくれるだけでもより理解が進むと思うので、環境省の今後の工夫に期待したいところです。
参考までに、私が手元で集計し直した表と棒グラフを掲載します。
上の日本地図上の円グラフと比べてだいぶ印象が変わりますね。日本の海岸なので日本語のペットボトルが多いのは当然なのですが、西日本に行くほど中国語、韓国語のペットボトルが増えています。
そして、以前も紹介しました青山繁晴議員の指摘。
▼ぼくらは海洋資源調査の現場で、海がプラスチックゴミにどれほど侵されているかを実感しています。
また対馬にて、韓国が海に捨てたプラスチックが中心の膨大なゴミを、みんなで拾い集める作業にも参加しました。
▼それにしても、韓国や中国の野放図な海洋投棄の問題が法案には入っていません。
・プラスチックゴミによる海の汚染は本当に深刻。ただし日本の近海や沿岸で見るのは某国語のプラゴミばかり。日本語のプラゴミはほとんど見ない。
・某国の漁船はゴミを海洋投棄している。日本の漁船はやらない。
・この法案には肝心要の対策が抜けている。他国の海洋投棄をやめさせずに、日本国内だけで対策しても日本近海のプラスチックゴミはなくならない。
さもありなん、です。
繰り返しになりますが、プラスチックの使用が問題なのではなく、海への流出が問題なのです。海洋プラ対策は、ほとんどプラゴミを海に出していない日本人のライフスタイル転換ではありません。いくら日本国内でレジ袋やペットボトルを削減してプラスチック業界をいじめても海洋プラスチックは減らないのです。
小泉環境大臣がご存知かは分かりませんが、企業のCSR部門や広報・広告部門の担当者、環境学部の学生などは「実効性が伴わない環境広報やイメージ戦略はグリーンウォッシュになる」と教育されています。
環境大臣みずから海洋プラスチックの原因ではないレジ袋有料化を推進するのはグリーンウォッシュに当たりますのでお止めいただきたいです。
レジ袋有料化に賛成、ペットボトルを禁止せよ、と言っている方々の議論を裏返せば、食品や紙や木や鉄など「漂流マイクロプラスチック」にならないゴミはどんどんポイ捨て・海洋投棄してもよいということになります。また、自分は普段からポイ捨てしていると言っているようなものです。
こんな無意味なことをやっている間にもどんどん海の汚染は進んでいます。
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