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二人のアンジェリカ #1 【ヒプノセラピー体験記】
※ ヒプノセラピーでの体験を物語調に残す。
自己催眠で自分の潜在意識へと語り掛け、自分の前世の記憶から今の不安や悩みを癒す、前世退行療法。
ヒプノセラピーを知った経緯を書くと長くなるが、なんとなく自分の前世が気になって、私は新たな世界へ飛び込んだ。
ヒプノセラピー自体の体験はまた別で記すとして、先に私の見た前世を物語調に記す。
足元に冷たい感覚を感じた。
『今、何が見えますか?自分の足元など見れるところから教えてください』
「足元は、冷たいです。裸足です。
手は細くて白い色です。白いワンピースを着ていて、目は…青っぽいです。髪は…黒かなって思ったんですけど灰色です。くせっ毛です。鼻が高くて、口は小さい…私は、17歳です。場所は、ヨーロッパです。寒いところ」
『何か数字は見えますか?』
「…3?って浮かびました」
『…ここまで自分のことがわかったら、自分の名前もわかると思うのですが…どうですか?』
「名前は…浮かびません」
肩にかからない長さの、灰色の柔らかいウェーブの少女が石造りの家に佇んでいる。
それをなんとなく後ろから見ている感じ。質素な、目に入るものと言えば、布のテーブルクロスのかかった四角い机と椅子。
私はそこで、自分の作った食事と果実を食べている。
「性別は…どっちでもない?体は女性です。でも、なんかボーイッシュといか…どっちでもいい。両親も、いない?あんまり…感情はないです。日々淡々と一人で過ごしています」
『そうですか。では、別の前世を見に行ってみましょう。目を閉じて…』
私が目を閉じる直前、彼女が振り返ってほほ笑んだ気がした。
《アンジェリカ》
置き土産のようにそう、彼女の声が聞こえて…私はまた闇の中に溶けていった。
次に出会ったのは、5歳の子供だった。
目が開けられなくて、体が動かせない。風の音が聞こえる。
手がないのか手は動かせなくて、ベッドの上でずっと蹲っている日々だが、安心感で満たされている。誰か世話をしてくれる人がいるのだ。怖くはない。
そのまま彼とはお別れした。
続く。
2023.11.17