歌う宝石(とうこさんの素敵なコレクション5)
寒い冬が、終わりを告げ。
春が、やってくるいい風が吹く日だった。
お日様のあたたかい、ポカポカの日差しが、
その宝石を育てていた。
月の晩も、その優しい光で、その宝石を育てていた。
この宝石は、ただの宝石じゃない。
大事によく育てるといい味がでて、メロディーや、歌を歌いだす不思議な宝石なのだ。
私が、この宝石と出会ったのは、失恋したその日だった。
泣きながら、とぼとぼ、街の通りを歩いていると、どこからか、優しいメロディーが、した。
耳を傾けてながら、メロディーに導かれていくと、小さな宝石屋さんにたどり着いた。
あれ?
オルゴール屋さんかと思ったら、宝石屋さんだ。
あ!
でも、確かに、あの綺麗な宝石が、メロディーを出している気がする。
手にとって見てみたいな、、、。
お店のディスプレイにくっついて、夢中で、みていると。
お店から、ご主人らしき人が、でてきて、私に尋ねた。
「
綺麗でしょう?」
「
ええ、とても」
「その宝石も、あなたを待っていたようだよ。」
「ご縁があるのでしょうか?」
「不思議なご縁だね。」
「この宝石をいただけますか?」
「かしこまりました。大事にしてやって下さいね。」
こうして、私のうちにくることになった宝石。
毎日、熱心に育てている。
なぜなら、宝石屋さんのご主人は、宝石を自分の子供みたいなものだと言っていたからだ。
数ヶ月たった、ある晩、
とうとう、その宝石は、メロディーの他に歌を覚えたようで
、歌っていた。
とても、優しい声で。
メロディーは、優しい音で。
歌う宝石だったのですね。
懐かしい、歌を歌っています。
聞いたことがあるけれど、初めて聞く歌ばかり。
でも、とても綺麗で、優しい。
大事に大事にするね。
ありがとう歌う宝石。
やっと少し泣いて、楽になったよ。
とうこさんは、‘歌う宝石‘の本をバタンと閉じた。
歌う宝石か、、、。
どんな宝石かな、、、?
きっと、世界のどこかには、あるんだろうな。
そんなことを考えながら、柚子レモンを飲みながら、家路に急いだ。
春まで、あと少しの冬も終わりの日であった。
つづく。
お読みいただきましてありがとうございました^^
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