日本語の動詞は頑固である
日本語の動詞は健在。健在というより頑固とさえ言えそうだ。例えば、こんなことを調べた人がいる。大野晋さんの調査。万葉集、枕草子、源氏物語、徒然草、類聚名義抄に共通する712語について現代まで延命しているものはどれくらいあるか。気の遠くなる調査の分、そこまでやるかと感心してしまう。その結果はなんと動詞の残存率が86.7%だった。助詞は53.0%で助動詞は18.0%。いかに動詞の残存率は高いかがわかるだろう。日本語では、基礎的な単語のうち数も多く長く使われるのが動詞なのだ。形容詞、名詞がそれに続き、副詞や感嘆詞の約半数は使われていない。動詞は頑固とは、つまりロングライフ。普遍性とは言えないかもしれないが持続性は高いようだ。過去千年の抵抗力。漢字を含む外来語がたくさん輸入されたにもかかわらず動詞は使われ続ける。どうしてだろうか。日本人の行為自体は昔と変わってない。そう、繰り返しているのだ。