私たちが不登校に悩む親御さん向けに無料LINE相談を行う理由
学校に行きたくない子ども達の居場所をつくる。
「人を頼る」という生き方を学べる社会に。
ページをご覧いただき、ありがとうございます。NPO法人キーデザイン代表の土橋優平(どばしゆうへい)です。
大学時代に大切な人達から「死にたい」の声を多く聞き、この社会にある生きづらさを解消するために何かしたいと、大学を中退し、2016年11月にキーデザインを設立。現在は不登校の小中高校生を対象とした居場所支援(フリースクール、ホームスクールなど)をしています。
代表土橋がどうしてキーデザインを立ち上げて活動しているのか知りたい方はこちらをご覧ください。
「不登校は怠けているだけでしょ?」
「学校に行けないなんて落ちこぼれの証」
令和になった今でも、そんな声がまだまだ聞こえてきます。
周りの大人から見ると、不登校になってから問題がスタートしているように感じるかもしれませんが、本当は違います。これまでその子は一生懸命がんばってきたんです。息切れしながらも、周りの期待に応えようと、道をはずれまいと、死に物狂いで毎日全速力で走ってきたんです。
でもそれが限界に来て、倒れこんでしまった。それが不登校になる瞬間です。子どもにとっては不登校は始まりではなく、結果なんです。
そんな「不登校を受け入れられない社会」の現状を少しでも変えていくべく、年間500家庭以上の支援に入り、個別支援だけでなく、制度改革・意識改革のために、教育委員会との交渉や、医師会との連携など、多様な団体・組織との連携を図っています。
また、不登校の子を持つ保護者向けの無料LINE相談窓口「お母さんのほけんしつ」を2020年5月から運営しています。
子ども達の安心をつくるためには、
家族との連携が必須です。
文科省より発表された「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査(2019年度)」によると、教育支援センター、民間フリースクール・相談窓口などの継続性の比較的高い支援を受けている不登校の小中学生は、全体の23.2%にとどまります。※2
つまり、この2つにあてはまらない約77%の小中学生は、病院やカウンセリングなど一時的な支援を受けるのみ、もしくは支援をまともに受けられていないというのが現状なのです。※2
これを受け、独自に不登校の小中学生の保護者を対象にアンケートをとりました(2021年5月)。計138名より回答を得、うちフリースクール等民間施設を利用していないという回答者に利用しない理由を聞くと、半分近い方が「本人が外出や人と会うことを不安がっている」と回答しました。
不登校にはさまざまな要因がありますが、学校内の特に人間関係で辛い経験をした子どもにとって、人と会う・外に出ることは過去の体験を思い起こさせることにつながる可能性が高く、恐怖に近い感情すら出てくるのです。
しかし、子ども達は不登校になると気持ちが不安定になり、1日経つと、昨日よりまた苦しくなっていることもあります。身近にいる保護者も同じく不安が増していくのは想像に易いでしょう。
そうした意味で、私たちはフリースクールやホームスクール(家庭教師)を運営する中で子ども達と関わり、それだけでなく外とつながることにハードルのある子ども達に、手を差し伸べるために保護者からのSOSをキャッチするLINE相談を始めました。それが「お母さんのほけんしつ」です。
あるお母さんからはこんなLINEが。
「子どもの気持ちに寄り添ってあげたいけど、頭では理解できても、心が追い付かないんです。子どもに手をあげてしまって。それからは自分を責めてばかりいます。親戚や先生に相談したら『親の教育が悪い』と言われてしまい、誰にも相談できなくなって悩んでいて、ここにたどりつきました」
お子さんの今の状況、学校での出来事、ご家族の関係性、親御さんの中にある悩みや葛藤…そんなことを丁寧に丁寧に聴かせていただきます。タイミングを見て、お母さんが余裕を持つための生活スタイルを一緒に考えたり、子どもが安心して過ごせる居場所を見つけるための手段を一緒に探したり。
スタートから1週間で登録者数は100名を超え、2024年1月時点で登録者は3,300名を超えました。保健室のようにお母さんがふらっと寄れる場所であり、いつ来ても悩めるお母さんに寄り添う相談員のいる、安心できる居場所に近づきつつあるのではないかと思っています。
皆様からのご支援でできること
私たちは今後、半永久的にこのLINE相談窓口を運営していくつもりでいます。
しかし、「人に相談する」ことにハードルを高く感じる日本文化の中では、相談者から利用料をいただいて運営することには難しさがあります。
特に家族の問題については、日本には自己責任論もまだまだ根付いており「身内の問題は身内で」といった雰囲気も強いため、利用料がかかることにより、相談から遠のき、外に助けを求めた時には、もう手の付けられないほど複雑な状況になっているという結果に至ることも容易に想像できます。
そうしたことを防ぐために、無料で運営するべく、寄付を募り、相談支援員への人件費などをまかなっていこうと決めました。
お母さんのほけんしつは、現在相談員4名で運営しています。
この「お母さんのほけんしつ」を皆さまからのご支援で運営することに大きな意義があると思っています。私たちのミッション(役割)は「家族をひらき、子育てに伴走する」です。家族の問題を家族だけで抱えず、外に頼ることで解決まで導く、そんな社会を目指しています。
みなさま一人ひとりのご支援によってこの相談支援窓口が運営できること、それを相談者にも見える形で示すことで、孤立している子どもと保護者が「応援してくれる人が世の中にいる」「ひとりじゃないんだ」と感じ、家族も少しずつひらけていくと信じています。一人ひとりの子育てを社会全体で担っていく文化をここで創り出していきます。
実際の利用者の声
実際に「お母さんのほけんしつ」を利用した方より、感想をいただいていますので、共有させていただきます。※掲載の許可をいただいているものです。
お母さんのほけんしつでは、zoomを活用しオンラインで親の会を実施しています。「今日は小学生の親御さん、定員5名で、支援員が1人ついて進行をします」という形で、なるべく話しやすい雰囲気づくりをしています。参加してくださった方の声です。
プロジェクトの展望・ビジョン
自分の生活を投げうってでも子どものために一生懸命になる親。でもその親を支える人は?疲れた時に、迷った時にSOSを出せる場所は?
親御さんを支えることが、子どもの支えにつながり、それは親子の関係性をやわらげ、子どもの心に安心を育むのです。
親御さんの「子どもに学校に行ってほしい」の言葉の奥には「子どもに幸せになってほしい」という気持ちがあります。学校に行くだけが幸せにつながる道ではありません。でも、それ以外の選択肢も見つけるのには苦労する今の時代、親だけが子どもの未来を考えるのではなく、親の隣で一緒に子育てを考え、伴走する”誰か”が必要です。
不登校にはまだまだ「怠け者」「自己責任」といったイメージが色濃く残っています。
でも、実際にフリースクールに来て、子ども達と出会った誰もが言うんです。
「不登校なのが信じられないくらい元気で、一緒に楽しく過ごせました」
「初めてなのに、ここまで受け入れてもらえて本当に嬉しかった」
「最初に緊張して入ったのがウソのようです。子ども達に癒されました」
不登校というレッテルを貼らないこと。
子ども達の学び場は学校だけではないこと。
すべての子どもに可能性と未来があるということ。
そうしたことを理解し、一緒に関わってくださるスタッフや応援者の存在のおかげで、こうして子ども達そしてその親御さんと一緒に笑うことができています。
みなさんもぜひ、寄付という形で子ども達の笑顔を引き出す仲間になっていただけませんか?
寄付はこちらから↓