持続可能な社会をつくる教育
大切なのは、幼いうちから感性を育てること
持続可能な社会をつくる教育「持続可能な社会をつくる」ということは、今、世界共通の目標になっています。
以前からその実現のために、教育の分野では、社会の課題と自分とのつながりに気づき、行動できる「意欲」を育て、「他者の立場を考える」ことや「人間と自然とのかかわりを考える」思考を育てることが大切であると指摘されてきました。
それには、私は、幼い子どものうちから「感性を育てること」がとても重要になってくると感じています。
「バッタだって人間とかかわって生きているんだね」
けやの森学園では、自然体験を通して「自然とのかかわり」を学べるような環境をつくっています。
幼いころから豊かな自然と接することで、〝いのち〟のつながりを感じ、人と人、人と自然との共存共生や生物の多様性を、頭ではなく、からだで学ぶことを大切にしています。
先日、昆虫の研究者で知られる斉藤秀生先生と「虫図鑑」を作りましょうという話が持ち上がりました。
昆虫は人類の何倍も長く地球上で暮らしているのですから、昆虫のくらし方を学ぶことで人類に役立つことがいっぱいあるのです。
子どもの擬人化した表現を大切に
けやの森学園では子どもを自然の中で遊ばせるだけでなく、自然界の「いのちのつながり」を感じ、考えさせるような環境づくりを大切にしています。
「この虫はどうしてこんな色をしているのかな?」
「何を食べているのかな?」
「おうちはどこにあるのかな?」
「おかあさんといっしょに寝るのかな?」
「どうして、ここにでてきたんだろう?」
「あ、お友達と仲良くしているよ」
などなど…
子どもたちは、虫の行動や虫の立場を自分事に置き換えて想像しているのです。人間は、もともとは他の生きものの立場を考える要素をもっているもので、決して、その芽を摘んではいけないと思っています。そういう心根が地球上に生きる人類として持つべき感性(やさしさ)ではないでしょうか。
なぜ?どうして?に寄り添う、新しい図鑑を作りたい
「図鑑を作りたい」という話にもどりますが、私は、このような子どもたちの「どうして?」「なぜ?」という視点から知的欲求を満たしていくプロセスを大切にした、これまでにない新しい図鑑を作りたいと思ったのです。
昆虫研究者の斉藤先生も、子どもの視点にたった疑問を軸にどんどん〝知の連鎖〟ができていくような「図鑑」を作りたい、そして、昆虫の生き方を探究することによって、持続可能な社会づくりへのヒントが得られればいいですよねと話がはずみました。
昆虫は、種類も多く、非常に面白い生き物。
おそらく「だんごむし」だけ取り上げても、子どもたちの視点に立った疑問に答えていくと、1冊ぐらいの情報になるのではないかと思います。それだけ、子どもたちの疑問は奥が深いのです。
人間は、知らないことには恐怖を感じ、知っていることには親近感を覚えるものです。互いの立場を尊重し、多様性を認める社会を築いていていくには、自分の周囲のこと以外にも知ろうという意欲が必要だと思います。
これからの時代は、子どものうちから知的好奇心と感性を育む教育が、もっと必要になっていくではと思うのです。
参考にしていただきたい著書の紹介
けやの森学園が、20年以上にもわたり研究を続けている「フレネ学校」の教育も、自然体験を通し、感性を育む教育を行っています。
その実践方法が具体的に記された著書文に「ヴァンスのフレネ学校」があります。これは、フレネ教育学の研究を続けているアンリールイ・ゴ先生の著書で、日本で初めて本格的なフレネの教育本として翻訳されました。
東京大学名誉教授の汐見稔幸先生もこの著書の推薦文に「ようやく、フレネ教育学の本格的な研究書が登場しました。その原理が、21世紀の保育・教育に光を照らしていることに気づかされ、誰もが驚くでしょう」とことばを寄せてくださっています。
子どもの感性を育む教育の実践の参考になる一冊です。当園のサイトで購入できますので、是非、ご利用ください。
※当園のサイトで「ヴァンスのフレネ学校」を購入すると、フレネ学校を取材して「フレネ教育」についてまとめたDVDが漏れなくプレゼントしています。こちらもフレネ教育の実践法が映像でわかりやすく解説しています。
https://keyanomori.thebase.in/items/33519968
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