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他者を尊重する心を育むには

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大人だけで解決してはもったいない
失敗は子どもの成長のチャンス‼

特定非営利活動法人「けやの森自然塾」は、狭山市から指定管理者の認定を受け、水富小第1・第2学童保育室と入間川東小第1・第2学童保育室の管理運営を行っています。
先日、この指定管理者の更新のために、狭山市にプレゼンテーションに行ってまいりました。

プレゼンでは、学童保育室の運営もけやの森学園の理念「生きる力を育む自然の教育」を基本として、子どもたちの生活の場であり、学びの場であることを念頭におき、自然体験など様々な活動によって情操を豊かに育んでいるという内容を、映像などを交えながらご説明させていただきました。

そのとき、「子どもたちの間でトラブルが起こった時、どのように対応するか」についてご質問いただきました。市によると、学校でトラブルが起こった時、子ども同士ではなく、保護者が学校に解決を求めてくることが多いそうです。

私は、子どもの問題を大人だけの間で解決してしまうというのは、大変もったいないことだと考えています。

子どもというのは、失敗をして、反省し、考えて、成長するものです。
失敗は成長のチャンス。その失敗を積極的に子どもたちの成長の材料にしていきたいと思っています。

宿題の時間

悪いことも良いことも互いに共有する環境をつくる

例えば、〝お友達の上靴を隠してしまった〟というトラブルがあったとしましょう。

上靴を隠された子どもは、大変困ります。また、隠した子どもは、どんな気持ちでやってしまったのでしょうか?

人が困ること、嫌がることをやってはいけないことぐらい、就学前の子どもでも知っています。それでも子ども時代は、「分かっているけれど、面白いからやっちゃった」ということがよくあります。

これは大人だけで解決するような特別な問題ではありません。むしろ、子どもたちにその問題を自分事として考えさせることが大事。間違いを犯したことを自覚し、反省があるから人間は成長し、社会に適応できるようになります。

私は、こうした子どものトラブルは、クラスみんなで共有し、された子の気持ち、やってしまった子の気持ち、そのトラブルを聞いたみんなの気持ちなどを話し合う絶好のチャンスだと考えます。

子どもの問題は子どもが解決。そして教師は…

ひとりの子どもの問題を、それぞれ異なる意見を出し合いながら、クラスのみんなで話し合うことは、「あの子は悪い子」「あの子はいじわる」というイメージを植えつけるのが話し合いの目的ではありません。

それぞれの立場の人の気持ちを知ったり考えたりする、またとないチャンスになると思うのです。そして、クラスで起こったことを他人事としてとらえるのではなく、自分事として考える習慣を身に付けることができます。

「人の振り見て我が振り直せ」のように、人の行動を見て、悪いところは改め良いところは見習うということも多いはず。それが学びです。

教師は、ひとりひとりをよく観察し、以前に良くないことをしてしまった子が、今回、我慢できた時や、良い行動に改善された時、すかさずみんなの前で褒めることが肝心です。悪いことだけを共有するのではなく、良いこともすべて共有することが大事です。ひとりの人間には長所も短所もあります。その両方を分かり合える環境づくりが大切なのです。

「みんなが自分のことをわかっていてくれる。だから安心していられる」

そんな雰囲気がクラスにできれば、子どもたちは、互いに認め合い、他者を尊重できるようになると思います。

子どもの間で起きたトラブルに対しての教師の役目は、それぞれの気持ちや意見が言える環境をつくり、各自みんながどうするのが良かったのかを考える機会をつくることではないでしょうか。

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新型コロナウイルス感染の差別問題から思うこと

今、新型コロナウイルス感染で、感染者に対しての偏見や差別行動が問題になっているようです。相手の気持ちを自分事として受け止めることができるようになれば、差別や偏見は起きないのではないかと思います。

先日、フランスのテレビニュースで新型コロナウイルスに感染して入院していた人が、退院するとき、医師や看護師が拍手で送っている様子をみました。コロナにかかったことを隠さず、退院できる喜びをみんなで共有しているのです。

日本では、著名人に関しての入退院報道はあるものの、一般市民はどちらかというと、噂を立てられないように、差別されないように、入院したことを知られないように「公にしない」というのが主流のようです。

「問題を公にしないで解決しようとする」という日本の風習が、もしかすると、いじめや差別行動の社会現象になっているのかもしれません。

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フレネ学校の「子どもたちの集会」を参考に

フレネ教育学では、自分の問題をみんなで共有し、みんなで意見を出し合い、考える「集会」という時間が設けられています。集会では、子どもたちの問題を子ども自ら提議し、みんなで話し合います。

今年、けやの森学園で南フランスのフレネ学校を取材制作したドキュメントDVD「フレネ教育の神髄に迫る~けやの森からフレネへの旅 Part3」では、フレネ学校の「子どもたちの集会」の様子も収めました。

フレネ学校の教師がどのような形でその集会の進行を助けているかも参考になると思います。是非、ご覧ください。

DVD_vol.3  ジャケット

当園のサイトで購入できます→ https://keyanomori.thebase.in/

また、フレネ教育学の研究者で実践者であるアンリールイ・ゴ先生の論文の翻訳書「ヴァンスのフレネ学校 学校形式の再構築に向けて」をご注文の方に、特典としてこのDVDをプレゼントしています。

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https://keyanomori.thebase.in/items/33519968


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