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自律神経失調症⑥ 朝だるい

だるさはとても厄介な症状でありつつ、西洋医学では治療方法がないものの一つです。

通常、だるさのために内科を受診した場合、貧血や甲状腺ホルモンを含めた血液検査を受けることになります。もし、食欲がなく急に体重が減っていれば、胃カメラなど画像検査まで受けることもありますが、これらで異常がない場合、「夏バテでしょう」「過労でしょう」ということになります。

漢方の見方をするとだるさの原因にはさまざまなものがあり、原因に合わせて治療を行なっていきます。だるさの漢方薬で大変有名なものに補中益気湯がありますが、補中益気湯を用いる際の大切なポイントは食欲の低下や胃もたれなどの消化器症状があることで、「体はだるいけどよく食べている」というタイプの方には、実はあまり効きません。

自律神経失調が関係する倦怠感は、朝はだるくて午前中は特に調子が悪いけれど、夕方にかけて元気が出てくる、夜はむしろいつまでも起きていたい、という感じで、1日の中で症状の変化が大きいのが特徴です。自律神経の働きから考えると、午前中は交感神経が徐々に優位になり活発な昼間の活動の準備をするはずが、なかなかここが持ち上がってこないから怠い。でも会社に行ったり、学校に行ったりはしないといけないから頑張る。そこで体に無理がかかって、ちょっとした緊張で交感神経のスイッチが入り、息切れしたり、動悸がしたりする。そんな状態になります。

この状態を漢方で治療するときには、桂枝と甘草という生薬の組み合わせを使っていきます。桂枝と甘草は午前中の交感神経の持ち上がりを助け、朝から動ける体に導いてくれるお薬です。自然に動ける様になれば、徐々に体の緊張感が解け、急な動悸なども軽減されていきます。特に目眩のような症状が強いタイプには苓桂朮甘湯、お腹の調子も崩しやすいお子さんには小建中湯をよく用います。

また、漢方薬を飲むと同時に夜更かしをやめ、食事の時間をできるだけ一定にしていくなど、毎日のリズムを整えて、自律神経が乱れないようにすることも大切です。テレワークやオンライン授業など、生活のリズムを保ちにくい環境が続くなか、誰もが気をつけたいことですね。

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