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本当は面白い物理の授業 005 ベクトルの分解

今回は、「ベクトルの分解」についての説明です。

その前に・・・
前回の授業で「ベクトルの合成」のイメージはつかめたでしょうか。

少しだけ、
「ベクトルの合成」についてのおさらいです。

川の流れに沿って泳ぐと、速く泳げます。
これは、「川の流速のベクトル」と「泳ぐ速度のベクトル」が同じ方向を向いているからです。

一方、川の流れに逆らって泳ぐと、なかなか前に進みません。
これは、「川の流速のベクトル」に対して「泳ぐ速度のベクトル」が逆を向いているからです。

そして、川を横切る方向に泳ぐと、川下に流されながら、前に進みます。
これは、「川の流速のベクトル」に対して「泳ぐ速度のベクトル」が直交しているからです。

それでは、
「ベクトルの分解」に移りましょう。

いきなり「ベクトルを分解」と言われても、イメージするのは簡単ではありません。

「ベクトルの分解」を考える場合、
「『ベクトルA』をX成分とY成分に分解した時、『ベクトルA』と『X成分とY成分の逆方向ベクトルの合力』は釣り合うはずだ」
と考えると理解しやすくなります。
文字で書くと分かりにくいので、例を上げて、図で描いて実験してみましょう。

「ばねばかり」の様な測定器具があれば、実験しやすいのですが、今回は簡単な方法で実験します。

ボールを用意しましょう。サッカーボールやバスケットボールの様な大きなボールが適しています。そして、この実験には3人の人が必要です。

1人目は「ボールを押す役目」です。
2人目、3人目は「ボールを逆側から押し返し、ボールを止める役目」です。

2人目と3人目の人は、なるべく2人が近い位置から押し返しましょう。比較的、小さな力でにボールを止めることができると思います。

ボールが停止しているということは、3人の力が釣り合っているということです。

つまり、
ボールが止まっているということは、全ての力が相殺されて0になっている」ということです。

よって、「1人目の力」を「2人目の方向」と「3人目の方向」に分解した場合、「2人目の力」と「3人目の力」の逆方向の向きになりとなります。
また、「力の大きさ(ベクトルの長さ)」は同じになりなす。

次に、
1人目の人は位置を固定したままにします。ボールを押す力は、同じくらいの力を保って下さい。

2人目と3人目の人は、お互いから離れて(2人の間の角度を大きくして)ください。

2人目と3人目の角度を広げると、ボールを止めるには、より大きな力が必要になると思います。

それでは、この状態を図に描いてみます。
先程と同じ様に、ボールが止まっているので、ベクトルは釣り合っています。
2人目と3人目のベクトルの長さも長くなりました。必要な力が大きくなったということです。

それでは、
上の図を「『2人目と3人目の合力』は『1人目の力』と釣り合っている」と考えた図(ベクトル合成の図)を描いてみます。

やっぱり、同じ様に力が釣り合っている図になります。

分解のイメージはつかめたでしょうか。

本当は面白い物理の授業006へ続く。

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