本当は面白い物理の授業 007 自由落下と重力
今回の授業は「自由落下」です。
なぜ、地球上の「物体」は落下するのでしょう。
それは、「物体」に「重力」が働いているからです。
そして、
「重力のベクトル」は,
常に「下向き(地球の中心方向)」を向いています。
「自由落下」とは、
「物体が『地球🌏の重力のみ』をうけて落下すること」です。
「『重力以外のいかなる影響も受けない』ので『自由』だ」と思って下さい。
そして、
落下している「物体」は、落下している最中も「重力」によって引っ張り続けられます。
よって、その「物体」は、どんどん「加速」していきます。
その時の加速度を「重力加速度」と呼びます。
そして、この加速度は一定です。
計算上は、以下の図の様になります。
「自由落下」開始から1秒後のりんごの速度は9.8(m/s)であり、その時の落下距離は4.9(m)です。
2秒後に、速度は19.6(m/s)となり、落下距離は19.6(m/s)に到達します。
計算上は「りんご🍎」でも「鉄球●」でも「鳥の羽🪶」でも同じ結果になります。
しかし、私達が実験すると、異なる結果になります。
それは、私達は空気に囲まれているからです。
空気中で物体が動く場合、
物体は空気をかき分けて進む必要があります。
移動している物体から見ると、物体が進む方向と逆方向に空気が流れています。
つまり「空気が『物体の移動』を邪魔する」のです。
これを「空気抵抗」と呼びます。
物体に「空気抵抗」が働いているということは、「自由落下」では無いといえます。
ここで余談ですがーーーーーーーーー
スーパーカーが、低車高で流線型の形状をしているのは、「空気抵抗」を減らすためです。
物体の形状が複雑になるほど、
「空気抵抗」の計算は困難になります。
現在は、スーパーコンピュータを使い、流体解析ソフトで計算することにより、ある程度の傾向をつかむことはできます。
しかし、最終的には現物を使っての実験が必要です。
この様に、複雑な形状の空気抵抗を計算するのは、容易ではありません。
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高校物理では、この空気抵抗を係数に置き換えて計算します。(別の授業で説明します)
また、それ以外の高校物理の問題では、「空気抵抗が無視できるとき」などの条件が入っています。
皆さんの中には、
「空気抵抗が無ければ、全ての物体は、本当に同じ速度で落ちるのか?」
という疑問を持つ方もいると思います。
答えは「同じ速度で落ちる」です。
実際に「鉄球」と「鳥の羽」を「真空状態(空気の無い)の部屋」で、同じ高さから落下させる実験を行なった人がいます。
その結果、全く同じように加速して落ちました。
普段、空気の中で生活している私達からすれば、想像するのが難しい現象です。
そのくらい、空気抵抗というのは、物体の移動に大きな影響を与えています。
例えば、
「空気抵抗」がなければ、スカイダイビングでパラシュートを開いたとしても、全く機能しません。
機能しないどころか、パラシュートを開くことすら出来ないでしょう。
それでは「自由落下」の話に戻ります。
「重力」は常に「物体」に力を与え続けることにより、物体を加速させます。
その加速度を「重力加速度」と言います。
その大きさは「9.80665 m/s^2」です。
高校物理では「9.8 m/s^2」で覚えてください。
記号で書くと「g」です。
つまり「物体が重力以外の力を受けること無く落下し続けると、1秒毎に速度が9.8m/s速くなる」ということです。
その時の「時間」「速度」「落下距離」を図示すると、以下のようになります。
「重力加速度g」は常に一定であるため、「速度v」は「時間t」に比例し、直線的に大きくなります。
そして、落下距離は三角形の面積と同じ計算になります。
この様に、「空気抵抗」を無視すると、「自由落下」の計算は非常に単純なものになります。
本当は面白い物理の授業008へ続く。