防犯ブザー
小学校のころには、当たり前にカバンについてた。
あのころの身を守るすべはそれしかなくて、
学校ではちゃんと作動するか、確認までする時間があった。
大人になれば、防犯ブザーがなくても身を守れるの??
小学生のころの自分と今の自分、何が変わったの??
あの頃から私の身を守る術は、なにも変わってない。
何も変わらないまま、大人になった。
だから、私は、大学生になっても防犯ブザーを持ち歩いて、
周りから、防犯ブザーをつけている変な女の子と呼ばれていた。
自意識過剰の女の子と思われていた。
高校生の時に、ストーカー被害によく合っていた記憶がある。
それは、
記憶に蓋をしていて、事実としてしか脳内に存在していないが、
とてもこまっていたという記憶がある。
大学に入って一人暮らしを始めてからも、
へんなことはよくあった。
でもそれでも、
自分の身を守るのは、自分しかいないという気持ちの元、私のカバンには今も、防犯ブザーがついている。
時々、鳴るのかを確かめて、
振動で、外れやすくて、壊れやすい。
そのため、はんだごてを欲しがって、親が変な顔をしていた。
決して安い買い物ではない。
スタンガンとか、催涙スプレーとか、大人になればなるほど身を守る選択肢はもちろん広がると思う。
それでも私は、
たとえおばあちゃんになったとしても
防犯ブザーをぶら下げている人間になろうと思った。
自分を守る術のひとつとして、
その選択肢が手札として一つ残っているのなら。
恥ずかしがっている余裕は私にはないから。
強くいられるためのただの手段。
それが私にとっての防犯ブザー。
ただそれだけ。
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