『不思議の国のアリス』のポーカーの進行④
ポーカーの進行の続きです。
5回戦
Caterpillarが座っていたキノコをかじって、アリスの首が極端に長くなる場面。
ここではアスタリスクによる区切りも入り、5回戦が始まります。
まず身体をギュッと縮めて、それからグーンと引き伸ばす。
「身体を伸ばす」という意味の動詞はstraightenですから、straighten→straight。
今回のアリスの役は「ストレート」ですね。
首が長くなったアリスは、飛んできたハトにヘビと呼ばれます。
ここでハトはpigeon、ヘビはserpentです。
pigeonは「だまされやすい人」、serpentには「ずる賢い人」のような意味があります。
「ハトなのにカモ」だったんですね。
このときハトは「巣の中の卵を食べるつもりだろう」と言い、アリスは「食べるつもりはない」と明言します。
「巣の中の卵」→nest eggは「(貯金などの元になる)種銭」という意味ですから、ハトは「今回負けたら種銭までなくなっちまう。だから見逃してくれよ」と懇願しているわけですね。
こんなの絶対嘘だろうと思いますが、優しいアリスは「それなら私の負けでいいわ。種銭までは取らない」と認めてしまったのです。あーあ。
結局、ストレートからドロップしてアリスの負け。(2勝3敗)
アリスは4回戦のフルハウスで大量のチップを獲得しているはずですが、rubber gameには2勝3敗で負け越してしまいました。
前半のポーカー勝負に勝てなかったアリスは、後半ブラックジャックに挑むことで夢の世界からの脱出を目指します。
それから
ハトが去ったあと、残りのキノコで調節し、本来のサイズになったアリスの独り言。
"Come, there's half my plan done now!"
「さて、プランの半分はやり終えたわ」
この台詞は、アリスがWhite Rabbitの家から森の中に逃げ込んだときの「最初にすることは私本来のサイズに戻ること。二番目はあの素敵な庭に入る方法を見つけること。それが最善のプラン」という台詞を受けているわけですが、「前半のポーカーと後半のブラックジャックのうち、半分をやり終えた」という意味にも取れます。
ダブルミーニングだったんですね。
この後が『不思議の国』と『地下の国』では少し違っているのですが、直後からブラックジャックが始まるという点では同じです。
『不思議の国』では、キノコを使って身長9インチ(約23cm)になり、高さ4フィート(約1.2m)の小さな家に入っていきます。(公爵夫人の家です)
一方『地下の国』では木の幹に付いた扉がホールに通じていて、そこから3人の庭師の場面へ進みます。
(この扉は『不思議の国』ではお茶会の後に登場します)
ブラックジャックの勝負は、『不思議の国』が5回戦、『地下の国』が実質2回戦。
ポーカーとは少し違うパズルになります。