『鏡の国のアリス』謎々詩としての「ジャバウォッキー」
Jabberwockyの第2連~第6連は謎々詩です。
この詩全体が第1連と第7連が第2連~第6連を挟む配置で、英国式のクリスマスクラッカーを模した形象詩になっています。
クリスマスクラッカーの中央部分には、通常王冠の玩具や謎々の紙などが入っています。
Jabberwockyの中央部分も謎々です。
私の回答。
謎々の答としては"snapdragon"とか"a snapdragon in a Christmas party"とか、そんなようなところ。
挿絵ではドラゴンのように描かれている怪物ジャバウォックは、クリスマスプディングのオバケです。
コウモリのような形の翼はヒイラギの葉、火を吹く目はフランベされたプディングの中のプラム(レーズンなど)。ボタン付きの上衣のように見えるの部分も、プディングの表面だと分かれば納得です。
チェス手順との関連では、ジャバウォックが登場する場面のThe Jabberwock, with eyes of flameが第4連2行目で11.●Ne7+に相当。
赤のナイト=ジャバウォックに隣接するd7のマスにいるのは白のポーン=アリス。
従って、挿絵の少女剣士もアリスと確定するわけです。
挿絵では、この剣士が怪物に切りかかろうとしているわけですが、ジャバウォックの正体がバレてしまった以上、血生臭い怪物退治は楽しいクリスマスパーティーに早変わり。
すると、文中の単語も違って見えてきます。
Bandersnatch→bread and butter
Tumtum→yum-yum
tulgey→turkey
snicker-snack→snack
frabjous→flapjack
主役のクリスマスプディングだけでなく、おいしそうなお菓子やご馳走が並んでいる光景が浮かんできませんか。
Vorpal-bladeの剣で切りつける場面がお菓子をナイフで切り分ける場面に変わったり、One, two, one, two, And through, and throughがスナップドラゴンの動作を表していると考えれば、He left it deadのdeadが「火の消えたプラム」に変わったり。
鏡の国の昆虫にSnap-Dragon-Fliesがいるのもヒントとみるべきでしょう。
中世騎士道物語を思わせる怪物退治とご馳走が並んだクリスマスパーティーの話が騙し絵のような二重写しになっているのかも。
(第1連のような「逐語訳」は難しい)
赤のナイトに相当するジャバウォックが挿絵ではドラゴンのような姿なのはred dragonでウェールズ旗を表しています。
クリスマスクラッカーの中央部分の謎々にクリスマスプディングが登場するというのは、第8章で白の騎士が言う「火薬と封蝋で作るプディング」とも合致していますね。