トレーニングボリュームに対する私見


2021年のシステマティックレビューでは、週12セット未満の群と、週20セット未満の群と、週20セット以上の群で、大腿四頭筋と上腕二頭筋、上腕三頭筋の筋断面積の調査が行われた、結果として、大腿四頭筋では週たり20セット未満の群で、上腕三頭筋では週当たり20セット以上の群で筋断面積の最も良い増加が見られた。この調査は実験期間が6週間以上で、参加者がトレーニング歴1年以上かつ18~35歳という年齢幅であった。

https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC8884877/参照。

こちらの研究では、週当たり5セット以下、5~9セット、10セット以上でのセット数と筋肥大の関係が調査され、セット数と筋肥大の間に相関関係がみられると結論付けた。

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/27433992/参照。


セット数を増やしまくるとトレーニングボリュームが爆発的に増えるので効果的と報告する研究が存在する。

筆者はセット数及びトレーニングボリュームの管理については1週間ではなく1セッションで区切るほうが良いと考えている。というのも区切りが1セッションの方が多くの人に応用しやすく、管理しやすいからだ。理想的であっても実践できなければ意味がない。

研究結果だけ見ると、全身法で各セッション各部位5~6セット週4~7回行うプログラムが筋肥大に理想的といえる。しかしこのプログラムをこなすことができる人がどれくらいいるだろうか。確かにこのプログラムをこなすことが目的なら遂行可能である。しかし筋肥大を達成するなら条件が追加される。「各セット限界付近まで反復すること」である。半端な限界ではなく本当の限界である。


途中でケガをしたり燃え尽きたりして理想的なプログラムを継続することは困難である。特に上級者になるほど理想的なプログラムが現実的でないことが理解できる。というのも使用重量が高くなればなるほど、限界付近でのケガの可能性が高くなるし、上級者になるにつれて月単位年単位で獲得できる筋肥大が少なくなるからである。週当たりのボリュームを増やしても獲得できる筋量に数gの差しかないとしたらリスクに対してメリットがあっていない。


現実的にはトレーニングボリュームの管理を1セッションで区切り、1セッション当たりの筋肥大効果を最大化するほうが賢明なのではないだろうか。ボディビルダーのように人生の多くを筋肥大に捧げることができない人であっても実践可能なオーバーロード管理の案を提供することに需要がありそうだ。1セッションの効果を最大化し、それをどの程度の頻度でできるかは各人の環境や努力に任せる。



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