ほぼ毎日ほぼ500字短編:その14「紅葉」
秋の楽しみ方は人それぞれだ。
実りをお腹いっぱい頬張る人もいる。
過ごしやすい陽気に、思いきり体を動かす人もいる。
音楽や絵画などの芸術作品に心を動かされる人もいる。
私の秋の楽しみ方は……眺めることだ。
美味しそうに食べる人を眺める。
颯爽と走り去る人を眺める。
芸術作品に感動している人を眺める。
そして何より好きなのが、紅葉を眺めること。
近くの公園で、鮮やかな黄色に染まったイチョウを眺める。
春は桜並木だった川沿いを歩いて、赤茶色に染まった葉を眺める。
そして、暖色に染まった山を眺める。
山を眺めること自体は、元から好きだった。
学生時代の登山経験がトラウマとなり、以降、山は登るよりも眺めることに終始している。
それでも紅葉に染まる山を眺めるのは、新緑の季節に次いで好きだ。
中には「紅葉は葉が落ちる前だから、寂しく感じる」という人もいる。
けれど私は、葉が最後のいろどりを咲かせている気がして好きだった。
今年も紅葉の季節がやってきた。
今日はどこの紅葉を見に行こうか?
2024年11月19日 pixiv創作アイディアより