希家由見子

はじめまして。希家由見子(けうち ゆみこ)と申します。 小説を中心に文章を投稿していきたいと思い、noteに登録しました。 【2024.11.5近況】 本日より「ほぼ毎日ほぼ500字短編」の投稿をスタートします。 小説アイデアは、pixiv様の「創作アイデア」からです。

希家由見子

はじめまして。希家由見子(けうち ゆみこ)と申します。 小説を中心に文章を投稿していきたいと思い、noteに登録しました。 【2024.11.5近況】 本日より「ほぼ毎日ほぼ500字短編」の投稿をスタートします。 小説アイデアは、pixiv様の「創作アイデア」からです。

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note、はじめました。

はじめまして。 希家由見子(けうち ゆみこ)と申します。 趣味で続けていた物書きを本業にしたいこと。 また自身のレベルアップになればと思い、noteに参加しました。 当面は「ほぼ毎日ほぼ500字短編の投稿」を予定しています。 「ほぼ」というところがミソです。 「ほぼ」なので、できなかったり満たないこともありますが、そこは緩い目線で見守っていただければと思います。 小説の題材は「pixiv」様の「創作アイデア」から拝借しています。 拙い文章ですが、ご感想等いただける

    • ほぼ毎日ほぼ500字短編:その12「桃」

      「いいなぁ、ヤヨイちゃんは」 「どうしたの、トウコちゃん?」 小学校からの帰り道、私は仲良しのヤヨイちゃんと一緒に帰っていた。 「だって、絶対に名前の読み間違いってないじゃん。それに名前で、すぐに3月生まれだってわかるし」 「トウコちゃんは、自分の名前、嫌いなの?」 「うん。だって、必ず最初は『モモコ』って呼ばれるもん」 するとヤヨイちゃんは含み笑いをした。 「トウコちゃん。良いこと教えてあげる」 「えっ。なになに?」 「花言葉って知ってる?」 「うん。お花についてい

      • ほぼ毎日ほぼ500字短編:その11「寝癖」

        「わー! 寝坊したー!」 盛大に1時間も。 朝食は抜こう。とりあえず、会社に行けるようにしないと。 「えー! なに、この寝癖!?」 無重力すぎる。寝起きヤシの木すぎる。 「とりあえず、水つけよ」 悪化した。 「ドライヤーをかければ!」 収拾つかず。 「もー! こうなったらヘアワックスで固めて縛っちゃえ!」 外はねアレンジっぽくなった。 「よし! もうこれでよし! 携帯電話、財布、鍵、定期、手帳、名刺入れ、社員証……。よし、揃ってる!」 勢いよくブラウンのバッグを

        • ほぼ毎日ほぼ500字短編:その10「スイーツ」

          「ねぇねぇ知ってる? この辺りの怪談話」 「なにそれ?」 「夜道を歩いていると、フードを目深にかぶった人から声をかけられるの。『あなたはケーキが好き? それともおはぎが好き?』って」 「好きなスイーツを聞いてくるの?」 「そうそう。でね、ケーキって答えると『あなたも砂糖に浸けてあげる』って言葉の後、急に息苦しくなって、そのまま」 「おはぎは?」 「おはぎだと『あなたも半殺しにしてあげる』って、包丁でグチャグチャにされちゃうんだって」 「どっちもダメじゃん」 「でもね『スルメが

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        note、はじめました。

          ほぼ毎日ほぼ500字短編:その9「ふくれっ面」

          「リホって、どんな顔もかわいいよな」 大学でのお昼、タケルが急にそんなことを言った。 「えぇ。どういう意味?」 「そのまんまだよ。笑っている顔も、怒っている顔もかわいいってこと」 タケルは学食のカレーを頬張った。 なにか、裏がある。直感的にそう思った。 「……タケル、私になんか隠し事があるでしょ?」 タケルの動作が止まる。 「……いや。別になにも」 「うそ。絶対なんかある」 「何にもない! あったところで、正直に言っているから」 またはぐらかされた……。納得いか

          ほぼ毎日ほぼ500字短編:その9「ふくれっ面」

          ほぼ毎日ほぼ500字短編:その8「ボタン」

          通勤途中、住宅街の道のど真ん中に、ボタンが落ちていた。 ボタンの下には「押すたびに天気が変わります」とある。 ためしに1回、押してみた。 すると晴れていた空に雲がわき、あっという間に曇り空になった。 もう一度押すと、今度は雨が降ってきた。 もう一度押す。降っていた雨が止んだ。 さらに押すと、快晴の空になった。 どうやら晴れ→曇り→雨→曇り→晴れの順で変わるらしい。 これは使える! 俺はボタンを持って、ダムが干上がっている地域に飛んだ。 そしてボタンを押し、水不足を解消させた。

          ほぼ毎日ほぼ500字短編:その8「ボタン」

          ほぼ毎日ほぼ500字短編:その7「宝石」

          「テルナさんが、最初に好きになった宝石って何ですか?」 晩秋の月曜日。お店の常連客であるテルナさんに、ずっと気になっていたことを聞いてみる。 「そうね……。メノウかしら。幼い頃に新聞のチラシで見て、初めて綺麗だなって思ったの」 テルナさんが、アクセサリーが並べられたショーケースを眺めて、懐かしそうにする。 「へー。私、ダイヤモンドとかアメジストみたいな、キラキラ輝く子かと思っていました」 テルナさんは、ふふっと柔らかく微笑む。 「たしかに、ダイヤやアメジストのよう

          ほぼ毎日ほぼ500字短編:その7「宝石」

          ほぼ毎日ほぼ500字短編:その6「手」

          私の手は小さい。 普通の女性と比べても、一回り小さい。 手が小さいと、何かと不便だ。 ピアノの鍵盤には指が届かない。 キーボードのブラインドタッチでは、手の可動範囲を広げなければならない。 仕事で書類の束を持つときも、手を思いきり広げないと多く掴めない。 なにより私自身が、手が小さいことにコンプレックスを抱いていた。 「……サマさんの手って、小さいっすよね」 仕事のお昼休憩時、急に後輩のセト君が話しかけてきた。隣でコンビニの焼きそばパンを頬張っている最中なのに。 「よ

          ほぼ毎日ほぼ500字短編:その6「手」

          ほぼ毎日ほぼ500字短編:その5「オッドアイ」

          「黒でオッドアイなんて不吉すぎる! さっさとその猫を捨ててきてちょうだい!」 次の瞬間にはママの温もりは消え、冷たい箱と空気に体が包まれていた。 寒いよ……。 お腹空いたよ……。 ママ……。 空腹と孤独感で、もう限界。 そのときだった。 「えっ、子猫?」 違う人間の声がした。 「かわいそうに……。寒いよね。ちょっと待ってね」 しばらくして、少しだけ暖かい布に体が包まれた。 「わぁ、君、オッドアイなんだね。素敵。幸運を運んできそう」 これがミユとの出会いだった。 ―

          ほぼ毎日ほぼ500字短編:その5「オッドアイ」

          ほぼ毎日ほぼ500字短編:その4「水色」

          「ねー、お父さん」 「どうした?」 11月上旬の土曜日。俺は5歳になる息子と、公園に遊びに来ていた。砂場で遊んでいたが、テトテトと歩み寄り、俺が座っているベンチの左隣に腰かける。 「どうしてお空って、水色なの?」 えらく上級な質問をしてきた。 「うーん、どうしてそう思ったんだ?」 「うんと、お空は上にあるのに、色は水の色って、なんでかなって」 なるほど。やっと質問の意図がわかった。 「そうだな……。逆だな」 「逆って?」 「空が水の色じゃなくて、水が空の色なんだよ

          ほぼ毎日ほぼ500字短編:その4「水色」

          ほぼ毎日ほぼ500字短編:その3「ワイルド」

          「ポケットモンスターシールド」をプレイして2日目。「ワイルドエリア」に行けるようになった。 「え、えっ。なにこれ、ポケモンつよ!」 目の前にいたイワークに勝負を挑むも、あまりのレベル差に「ピッピにんぎょう」を投げて、逃げ出した。 「怖かった……。危なかった……。気をつけよ」 以降は注意しながら進み、無事に次の町・エンジンシティに辿り着けた。 実は、ポケモンシリーズで遊ぶのはシールドが初めて。それまでは「ゲームなんて」と思っていたけれど、たまたま動画サイトで流れてきた音楽がと

          ほぼ毎日ほぼ500字短編:その3「ワイルド」

          ほぼ毎日ほぼ500字短編:その2「座る」

          朝の通勤時間帯の電車は、席の争奪戦だ。 空いているスペースがあろうものなら、たとえ歳を重ねたマダムだろうと、動き素早く席を確保するものだ。 だが、今日は違った。 最初は立っていたものの、座っていた女子高生が次の駅で降り、俺の前の席が空いたのだ。 ツイている。 さっそく席に座る。朝の通勤時間帯に座るなんて、初めてじゃないだろうか? スマホを取り出して……とも思ったが、俺は電車内の人々を観察することにした。 参考書を読んでいる眼鏡の男子学生。 スマホに夢中になっている4

          ほぼ毎日ほぼ500字短編:その2「座る」

          ほぼ毎日ほぼ500字短編:その1「かっこいい」

          「かっこいい」なんて、生まれて22年間、一度も言われたことがない。 一生、縁のない言葉だと思っていた。 あの日までは――。 「うーん! 届かないー!」  小学6年生くらいの少女が、公園の木に手を伸ばしている。視線を送ると、木の枝に1枚の紙が引っかかっていた。 『本当は関わりたくないけど、しょうがない』 俺は木に近づく。少女が一瞬、気圧されたような顔になる。無視して、枝に引っかかっていた紙を取った。 「ほら」  ちらと内容を見る。紙には下手だが、漫画のようなものが描かれ

          ほぼ毎日ほぼ500字短編:その1「かっこいい」