ほぼ毎日ほぼ500字短編:その5「オッドアイ」
「黒でオッドアイなんて不吉すぎる! さっさとその猫を捨ててきてちょうだい!」
次の瞬間にはママの温もりは消え、冷たい箱と空気に体が包まれていた。
寒いよ……。
お腹空いたよ……。
ママ……。
空腹と孤独感で、もう限界。
そのときだった。
「えっ、子猫?」
違う人間の声がした。
「かわいそうに……。寒いよね。ちょっと待ってね」
しばらくして、少しだけ暖かい布に体が包まれた。
「わぁ、君、オッドアイなんだね。素敵。幸運を運んできそう」
これがミユとの出会いだった。
――1年後
「こら、ごま。いい加減どきなさい」
嫌だね。ミユの膝の上は僕の指定席なんだ。
「もう。しょうがない、もう少しじっとしてるか」
ミユが僕の喉を優しく撫でる。無意識に喉が鳴る。
「でも、ごまのオッドアイは、いつ見ても綺麗だよねー」
ミユは僕の目が好きらしい。ミユが好きなら、僕もこの目が好きだ。
「ごまが来てから、仕事も順調だし。やっぱり幸運の使者だったのかな」
よくわからないけど、褒められたことはわかった。
僕も、ミユと出会えて、本当に良かったと思っているよ。
ずっと一緒にいようね、ミユ。
2024年11月9日 pixiv創作アイディアより
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?