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ほぼ毎日ほぼ500字短編:その19「ツリ目」

「ユキナって、けっこうツリ目だよねー」

幼なじみのミチルが、アイスミルクティーを飲みながら言う。

「え、今さら?」
「いやね。前々から思ってはいたんだけど、改めて見ると、そうだなーって思って」
「私は嫌いなんだよね。ツリ目」
「えーなんで?」
「ちょっと目を合わせただけでも『睨んだでしょ?』とか、因縁つけられるし」
「うーん、それは否定できないなぁ」

カフェのBGMが響く。

「ミチルは、ツリ目って嫌い?」

瞬間、ミチルの頬が赤くなった気がした。

「い、いや! むしろ好きっていうか。ツリ目だからこそユキナだなって思うし、むしろ好きだし」
「言っていることが支離滅裂」
「ご、ごめん……。でも、結論は好きだから」

……待てよ。これって告白?

「あれ。ユキナ、顔が赤いよ?」
「えっと、ミチル。今のって、その、告白系?」

今度はミチルの顔全体が赤くなる。

「は、ち、ちが! でも、ちがくない!」
「どっちなのよ」
「つ、つまり……」
「つまり?」

ミチルが下を向く。

「……好きです、前々から」
「……私も」

ふっと周囲を見る。カフェにいた店員さんやお客さん達から、温かな視線が注がれていた。

2024年11月24日 pixiv創作アイディアより

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