ほぼ毎日ほぼ500字短編:その4「水色」
「ねー、お父さん」
「どうした?」
11月上旬の土曜日。俺は5歳になる息子と、公園に遊びに来ていた。砂場で遊んでいたが、テトテトと歩み寄り、俺が座っているベンチの左隣に腰かける。
「どうしてお空って、水色なの?」
えらく上級な質問をしてきた。
「うーん、どうしてそう思ったんだ?」
「うんと、お空は上にあるのに、色は水の色って、なんでかなって」
なるほど。やっと質問の意図がわかった。
「そうだな……。逆だな」
「逆って?」
「空が水の色じゃなくて、水が空の色なんだよ」
水は本来、無色透明。しかし空の色によって水色にも、茜色にも、漆黒にもなる。詳しい仕組みは俺もわからないが、そう聞いたことはあった。
「じゃあ、なんで『水色』っていうの?」
そうきたか。
「それはだな……。きっと昔の人が、ハルトと同じ疑問を持って、水の色をしているから水色って呼んだんじゃないかな」
ごまかしてしまった。
「そっか! お父さんってなんでも知ってるね!」
一応は納得してくれたらしい。よかった。
ハルトが寝たら、ネットで水色の由来を調べてみよう。
2人で快晴の空を見上げていた。
2024年11月8日 pixiv創作アイディアより
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