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ほぼ毎日ほぼ500字短編:その95「ニーハイ」

とうとうこの日が来た。

体重計の数値を確認。よし、目標体重と体脂肪率はクリアしている。
姿見の前で体型を確認。うん、標準的な体型……だよね。

そしてタンスの中から、黒いニーハイソックスを取り出す。

「ダイエットを始めた頃からの憧れ、ニーハイ。とうとう履く日が来た!」

覚悟をして、左足をニーハイソックスに通す。足首、ふくらはぎと黒く覆われる。膝上まで伸ばしたところで、両手を離す。ニーハイソックスは太ももに程よく食い込んで止まった。

「お、おぉ! そんなに食い込んでない! これくらいならいいよね!」

右足にもニーハイを通す。こちらも左足と同じような食い込み具合だった。
じわじわと血液が沸騰する。

「よ、よーし! ダイエット成功! 目標だったニーハイも履けた!」

残念ながら会社の定期健診には間に合わなかったものの、以降もダイエットを続け、1つの目標だったニーハイソックスを履けるまでになったのだ。

そして今日は、私の誕生日。ニーハイを履いて、街へくり出す予定を立てていたのだ。

「ニーハイと合うコーデに、さっそく着替えよう!」

体も心も軽くなった。諦めないでよかった。
やればできるじゃんと、過去の私を最大級に褒めていた。

2025年2月8日 pixiv創作アイディアより

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