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ほぼ毎日ほぼ500字短編:その74「横顔」

「……ハルキ。あまりに見られていると、作業しづらいんだけど」
「いいじゃん。減るもんじゃないし」

ハルキが僕の横顔を見始めてから、30分は経っていたと思う。

「僕の精神が減る気がするけど……。それに、ハルキもレポートがあるんでしょ? 机空いているからやっちゃえば?」
「わかったよ」

ハルキは渋々、自分のノートパソコンを開いた。それを見て、僕はようやく息をつく。

これで集中できる。

僕はパソコン画面に広がる、プログラミングコードの羅列に集中する。
動くってことは、動作自体は間違っていないはず。とすると、計算式の値を変えれば、もっとスムーズに動くんじゃ……。
動作の要となっているコード。その数式を書き換えて保存。実行する。

「……よし!」

3Dモデルの動きが明らかに良くなった。
ふと、視界の端にハルキの顔が入り込む。顔を向けると、また僕の横顔を見ていたらしい。

「ハルキ」
「おっと、ごめん。ユウスケの真剣な横顔見ていると、なんだか癒されるというか、嬉しくなるんだよ」

ハルキの笑顔に、一気に顔が熱くなった。

2025年1月18日 pixiv創作アイディアより

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