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ほぼ毎日ほぼ500字短編:その15「困り顔」

「ユウタ、一緒に帰ろうぜ!」
「うん」

リクトに注がれる女子生徒たちの熱い視線を振り切って、僕らは家路についた。

「そうだユウタ。今度、一緒に映画見に行こうぜ」
「え。いいけど……」
「けど、なんだよ?」

リクトは顔が良い。背が高くて、頭もいい。当然、女子生徒たちの憧れの的だ。本来なら、こんな冴えない男子生徒じゃなくて、可愛い女の子と一緒に過ごすべきなのに。

「女の子と一緒に行った方が楽しいんじゃないの?」

思ったことを率直に伝えてみる。

「いや、俺はお前と一緒の方が楽しいんだよ」
「こんな冴えない男子学生と?」

今日は思ったことが、つらつらと口から出る。またリクトの反論があるかと思ったけど、何も言ってこない。思わず顔を窺うと、リクトは眉を八の字にして、明らかに困ったような顔を浮かべていた。

「ど、どうしたの、リクト?」
「だって……俺はユウタといたいだけなのに……。ユウタは、俺と一緒にいるのが嫌なのか?」

整った顔立ちで、その困り顔は反則だろ。

「わ、わかったよ。一緒に行こう」
「良かった!」

リクトがパッと笑顔になる。

僕のリクトに対する想いは、どうやら一方通行じゃないらしい。

2024年11月20日 pixiv創作アイディアより

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