ほぼ毎日ほぼ500字短編:その11「寝癖」
「わー! 寝坊したー!」
盛大に1時間も。
朝食は抜こう。とりあえず、会社に行けるようにしないと。
「えー! なに、この寝癖!?」
無重力すぎる。寝起きヤシの木すぎる。
「とりあえず、水つけよ」
悪化した。
「ドライヤーをかければ!」
収拾つかず。
「もー! こうなったらヘアワックスで固めて縛っちゃえ!」
外はねアレンジっぽくなった。
「よし! もうこれでよし! 携帯電話、財布、鍵、定期、手帳、名刺入れ、社員証……。よし、揃ってる!」
勢いよくブラウンのバッグを持ち、黒のパンプスに履き替える。
「いってきます!」
部屋の鍵はしっかりかけて、私は会社に向かった。
――1時間後
「おはようございます!」
「おはよー」
自席に着いて、息を吐く。
「ナトリさん、おはよう」
「あ。おはようございます、カガミ課長」
「今日は……なんというか、個性的なヘアスタイルね」
「ちょーっと、慌てていたので」
「ふふ、なるほど。ところで」
「はい?」
「まだ就業開始まで1時間以上あるけれど、今日は私と一緒で早出だったかしら?」
……早出じゃない。
2024年11月16日 pixiv創作アイディアより
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