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詩)夜に拾った詩は《ヨルニヒロッタウタハ》

時計に0が3つ並んで
この辺りはずいぶん静か
思考の止まった頭ですくった言葉

言葉の羅列にせられたのか
あやかしたぐいに騙されたのか
それとも酒樽の中に溺れていたのか

夜の記憶は水溜りのアメンボみたい
スイー、スイーっと無責任に消えていく

『嗚呼、嗚呼』とカラスが鳴いて
違う違うと違うを並べて満足気まんぞくげ
よせばいいのに朝焼けの下で言葉を拾うひらう
出来た出来たと意気揚々で眠りについて
陽が昇りきるまでの天下取り
真上に登った太陽の下
光に照らされ影は消える

自分勝手な夢から覚めて
此方に戻れば
口の中には苦虫の群れ
悔しさ悲しさまとめて噛んで
丸めた紙をそこらに投げた
さようならと呟いてつぶいて