掌編小説)金の斧
木こりは誤って斧を池に落としてしまいました。
すると女神様が現れて尋ねました。
『貴方が落としたのは、金の斧ですか?それとも銀の斧ですか?』
木こりは、
『私は貴方の美しい姿を見て、一目で恋に落ちてしまいました。どうか私と結婚して下さい。』
その意外な答えに女神はストーンと恋に落ちてしまいました。その後、2人はいつまでも幸せに暮らしましたとさ。
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今回で何度目の持ち込みになるのだろう。
その都度、作品に目を通してアドバイスをくれる彼女は、本当に優しい編集だと思う。
ただ、優しすぎるのか、今までに面白かったかどうかを言ってくれた事がない。
『どうですか?自分では面白いと思ってるんですけど』
彼女は珈琲を飲み干し、おもむろに伝票を持ってレジへと向かおうとする。私は慌てて叫んだ。
『何処にいくんですか?』
彼女はこちらを振り返り
『近くに池があるんです。そこに一回、落としてみます』
後日出版された雑誌には、金賞の受賞作として、自分の名前で、全く違う面白い作品が掲載されていた。
…彼女は女神の質問になんて答えたのだろう…。
おわり
この小説は、小牧さんの企画に参加しております。自分が間違えて2作目をUPしたら、ご厚意で、お一人様2作迄にして頂きました。