「お約束」だらけのバラエティ番組
前回は近年の漫画についてとりあげた。第2回はテレビのバラエティ番組についてだ。
昭和から令和に至る今まで、お茶の間を明るくしてきた「バラエティ番組」達。
古いものだと日本テレビの「クイズ世界はSHOW by ショーバイ!!」やTBSの「世界まるごとHOWマッチ」「8時だョ!全員集合」などの有名な番組が世間を賑わせた。
今でもゴールデンタイム(19時から22時)の時間帯の民放各局はバラエティ番組を乱立させている。
そんなバラエティ番組も漫画と同じく「低俗」になったと僕は思う。
その原因は番組内の脚色による「お約束」にある。
どんなテレビ番組でも制作の時点で「脚本」がある。いかに視聴者に飽きられないかを考えるのがテレビマンの「鉄則」なのだ。
例を挙げれば2020年3月7日にTBSで放送された「炎の体育会TV」の陸上のプロ選手とジャニーズの若手がリレーで勝負するコーナー。
結果から言えば、3戦中3回ともプロ選手が勝った。当然である。
しかし、ナレーションやVTRではプロ選手が2回戦を終わったところで「プロ選手とはいえ2回全力で走ったから疲れている。息も切れ気味だ」というカット(場面)を映した。実はこれも脚本の内だ。
だがよく考えて欲しい。プロ選手は毎日のように練習で何十キロも走り込みを行っているし、彼らの持久力からして2回全力で走ったくらいで息が切れるようなこともない。
それなのに、あえて「ジャニーズの若手が3回戦目で勝つかもしれない」という淡い期待を視聴者に持たせている。
そのリレー3回戦目では終盤の最後の最後までジャニーズの若手らがリードしていたが、プロ選手のアンカー(最終走者)がぐんぐんとジャニーズとの差を縮め、あっさり追い抜いてそのままゴールしてしまった。
そう、最初からこの勝負は全部プロ選手が勝つようになっていた。
しかし、いかにテレビは「面白く見せようと努力している」のかがお分かりいただけるのではないか。
「当たり前のことを当たり前に放送していた」のでは視聴者に飽きられる。いかにその「当たり前」を脚色するのか。それがテレビマンの使命なのだ。
その結果、彼らの「脚色」が「やらせ」として大きな問題として浮き彫りになることも珍しくない。
最近ではTBS「クレイジージャーニー」、「消えた天才」の打ち切りが有名だ。
「脚色」や「お約束」だらけのバラエティ番組、それを見抜けなくなった視聴者はどんどん低俗に堕することになるだろう。
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