絵本探求ゼミ第4期 第一回講座を受講して

チーム2 ラブバランス けろちゃんです。

今回のテーマは「翻訳」

どんなことを学べるのかワクワクします。
探求ゼミでは、皆さんの得意を教えていただける勉強会もあり、今期もレベルアップ確実です。
まず一回目、沢山のことを教えていただきましたが、今の私が学べたと思うところに注目して書きたいと思います。

『ちいさいおうち』の翻訳です。

講義を聴きながら、原書を確認します。日本語訳は講義前に本棚にありました。日本語ではありませんが、講義と共に絵本をみるとよくわかります。日本語版の特徴は、再度録画講義を見るときに日本語版も準備しました。

比較

講義のあと、英語版と日本語訳の本を比べてみる。
  私の気づき→印刷のずれ、色の違いがある。
       月の表現は月の満ち欠けが逆だったが、
       理科の教科書を見ると日本語版と同じ。
       なぜ洋書と日本語の月の曲線が違うのか?疑問に感じる。
       原書では、ディスレクシア対応の絵本となっています。
       カバーと献辞の文字の上に音声をダウンロードできる。と
       と書いてあり、検査結果もなにもいらない。これこそ
       配慮だと。日本では障害を持つ側が調べなければ何もなく。
       調べて欲しいと思っても検査結果が必要だったり、
       別途お金がかかります。絵本に記載されているとは。
       感動です。
       アリス・ディミトリオス氏の小さな家の思い出話が
       あった。またシールもついているので、
       文化の違いを感じていましたが、カバーを再度確認。
       75thアニバーサリー版の絵本でした。       

翻訳について

『ちいさいおうち』は、バージニア・リー・バートンが文と絵を描かれています。翻訳は石井桃子です。
石井桃子は、子どもの本の翻訳者であり、今の大人は石井桃子が翻訳した絵本で育ってきたといっていいかと思います。
そうやって育っていった子が今の翻訳者へ引き継がれている。
石井桃子さんが、翻訳することについて語られていることはとはいったいどのような翻訳の仕方をするのか。(ゼミ+参考文献1より)

・子供に親しみやすく、かつ美しい日本語
    昔話のような繰り返しの文体で訳す。
    でした。ました。のような表現で描かれている。
    同じ単語をどのように表現するかも書かれている。

・常に読者である子どもの存在と、自己同一化して物語を楽しむ子供の読み  
 (斎藤惇夫さん)
   細かいところに気が付く子どもたちは、「おうち」の顔にも
   注視するだろう。

・この絵本のテーマ 「どう生きるか」 を子どもにかかわる物語として
 提出したい。
   この絵本のテーマである、「どう生きるか」とは、時間概念の
   わからない年齢の子にどう伝えるのか。これを「おうち」が
   夜になると目を覚まし、自分の住んでいる田舎から、知らない都会へ
   冒険にでかけて帰ってきた物語となる。行って帰ってくる物語として
   書いた。
   見返しの部分には、「おうち」の前の道を通るものが時代と共に
   替わっていく。時の流れを表現している。
   興味のある方は、参考文献の5章をぜひ読んでいただきたい。
   初読時は難しいと感じましたが、講義を聴くと少し理解できたかも。

・訳者は、自分の訳した本を読んでくれるであろう想像上の読者と対話をしながら、訳文という訳者自身のテクストを作っていくのである。( R.オイッティネン)
  バージニア・リー・バートンは『ちいさいおうち』をどのくらいの
  子ども対象に制作したのか?4~8歳である。
  (コルデコット賞受賞スピーチにて)
  では、4歳から8歳の子供にどう読んでもらうのか。
  この作業も翻訳の一部なのだそう。
  それには、子どもの発達についての知識も必要となる。 
  時間の認知は大人と子供では全く違う。この違いを認識しなければ、
  親子の間に理解度の違いがあるのではないだろうか。
  (ここの思考はまた別の機会にでも)
  翻訳とは、そこも考慮し、わかりやすく翻訳する。
  読者のことを考え、相手が理解できる言語で。
 
    私の感想→文学として直訳は伝わらない。無理だろう。
         読者の立場に立ち翻訳する。しかし、作者の意図も
         考慮する。同じ単語=同じ日本語ではなく言葉のリズム
         作者はどのように考え絵本を作成したのか。
         勝手に日本語で意図を変えてはいないだろうか。
         翻訳。ただ訳すだけではない、そこに翻訳者の
         すばらしさがあるのだろう。

大人の見かた、子どもの見かた

絵本を読むとき、私は断然誰かに読んでもらいたい。なぜかというと、絵が見られないからだ。しかし、大人は、絵本から離れ児童書、小説などと読み進める間に、文字だけで自分の経験と想像力を使い理解していく。登場人物に重ねて読んでいく。小説は、文字を読んで自分の空想力を使い頭の中で絵が動いていく。(私の場合、絵が動かない小説は最後まで絵が動かない)とても楽しい。
しかし、絵本は絵を見なければ、絵本ではない。絵本の絵は、挿絵ではなく絵なのだ、絵を見て言葉を聞かなければ絵本とならない。子どもと共に読んだ本は、何度も読んで、絵を見て、たっぷりの時間を使い絵本を味わっている。
    私の体験→4歳年少さんの時期、わが子や年少さんに絵本を読んで
         いるとき、絵の細部によく目が行く、主人公だけでは
         なく、隅にある動物や雲の形・影・物・昆虫など
         細部にあるものを発見しては言葉に出す。また読み手の
         言葉もよく聞いていて、大人の目線で見ると面白い。
         また、タイポグラフィーに気が付いている子も、
         文字が面白い形になっていることを口に出す子がいる。
         本当によく見て、絵本の中で楽しんでいるのだ。

子どもの見かたとは?

講義では、子どもたちは、声の文化の人たちである。子どもは絵をじっくり見る。絵の細部にも注目する。読み方は、子どもは文字が読めないので、読んでもらうお話を耳で聞く。子どもは人生経験が少なく、物事のとらえ方が大人と異なる。文字も目で見るということは、視覚言語として眺める。『ちいさいおうち』では、タイポグラフィー(文字をデザインする)で表現されている。ゼミの中で曲線パターンは昼間、直線パターンは、「おうち」にとって夜同然と解釈する。
    私の考え→例外のP37の直線のパターンも同様に言えるのでは
         ないかと推測した。なぜなら、昔、夜が嫌いだった
         我が子に質問したことがあったことを思い出す。
         どうして夜が嫌いなのか?昼間は大丈夫なのに。
         暗いところは怖いのだそうだ。人間の野生の勘 
         なのかもしれない。「おうち」を擬人化するのならば、
         夜に不安がるのではないか。
         P37の「おうち」には昼しか太陽が当たらず窓は壊され
         見えない不安と、新しいところに移るという、
         楽しみ半分、不安半分といった気持ちなのではないの
         だろうか。心の夜なのかもしれない。と勝手に
         推測した。

本の形について

翻訳本とは、原書と同じ大きさで作成されるものだと思っていたが、『ちいさいおうち』では、2パターンの形で発行されている。岩波の子どもの本では、右開き縦型の文字で発行されたもの、原書と同じ大きさの翻訳版。
最初に発行された本は、原書と違う形、開き方、文字や絵の配置も違っている。これに関しては相当苦労されたのではないだろうか。
    私の考え→以前ポスターなどを作るとき、絵を拡大、縮小コピー
         して合わせることに、手間を感じることがあった。
         それの比ではないだろう。原盤から印刷する際に
         右開きと左開き、さらに大きさも違うとなると、
         本当に何度も微調整をし、多大なる努力の結果、
         絵本となる。絵本は高いという方が多いが、
         このような苦労の末、出来上がっている。
         流行ではなく、長い間世代を超えて
         読み継がれていく。親子共通の思い出となるので
         あれば、一冊約2000円✕数冊は安いのではないか。

参考文献

石井桃子の翻訳はなぜ子どもをひきつけるのか
-「声を訳す」文体の秘密-
著者:竹内 美紀
出版社 ‏ : ‎ ミネルヴァ書房
発売日 ‏ : ‎ 2014/4/20

参考絵本

ちいさいおうち
文・絵: バージニア・リー・バートン
訳: 石井 桃子
出版社: 岩波書店
発行日:2012/02/03 58刷

The Little House(ちいさいおうち)
作・絵: バージニア・リー・バートン
出版社: Houghton Mifflin Harcourt

受講動機と目標

第三期に続き受講しました。前回受講して、私自身の気づきが沢山ありました。
読み聞かせに向かうとき、今の自分が子どもたちにかかわるとき、「これでいい」ではなく、「本当にこれでいいのだろうか」と
疑う心を持てたこと。絵本を知る方々に出会い、色んな事を勉強すると、知らないこと、知らない絵本がこんなにも沢山あり、それぞれの絵本が素敵で紹介したいと思えるものが沢山ありました。刺激のあるミッキーゼミ。知らないことを知れる。絵本おばさんの感じていたこと、思ってたことに、理論が加わり楽しい。表現ができていませんが、少しずつレベルアップしています。また、振り返りで発表させていただいたときに、アウトプットとは、思ったことを、解ったことをまとめることではなく、文として完成させ、伝えること。独りよがりではないこと。何度も読み返すこと。声に出すことで気が付くこと。そのうちに、記憶として定着。アウトプットの重要性を感じました。今作成していて、読み返すたびに、過不足ができてくる。いったいどこで終わらせればいいのか、終わりがわからない。
これも今回の課題となりました。自分で納得できる文章が書けるのか。永遠の課題かもしれません。

雑談

絵本の管理ができてないので、小さなおうち(岩波の子どもの本)が見つからない。家の中を、本棚の中を、積みあがっている絵本、本棚の奥の本箱、見つけられない。一緒に次回の宿題の絵本も探すが無い。一体どこに行ってしまったのか。家族から「ちゃんと片付けなさい」と、いつも私が言ってるセリフを言われる。結局新しく買いなおしました。日本語版と英語版やっとそろいました。次回の本まだ見つからない。一体どこに行ったのか?
図書館から借りてこようかまだ悩んでいます。


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