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読書感想文「今日の人生」益田ミリ


この頃わたしは疲れていた
疲れていることも 
自分で許し難かった

心身を壊して
仕事を辞めて
前へ前へと闘い、もがいて、小休止
壊れた心身は少しずつ良くなり
次は新しい仕事!と意気込むも
欲を出して選んだ仕事は
異業種への挑戦
自分への挑戦。もしかしたら少し背伸び。
書類や作文を作りまくり、
不採用が続いて
一次通過しても二次がダメだったり
挑戦するたび、
期待しては己を奮い立たせ、
自分を作り込み、
頑張り続けて 
結果に繋がらないことに疲れてて。
なにも成していないのに、
ただただ、疲労してる自分に
嫌気がさす。

好きだった本も映画も散歩もご飯も
ぜんぶぜーーんぶ面倒くさくて
時間だけがすぎて
自分にも世の中にも
がっくり、がっかり

そんな時に
ただ、ぼーっと疲れないで読めそうな本ないかな、、、と見つけたのが
「今日の人生」益田ミリ


この本は、
普段のワタシだったら
響かなかったかもしれないし
ご機嫌な部分だけ切り取って
楽しく読んでたかもしれない。

作者がひとり
食べたり出かけたり人と会ったり
町の人をほんの少し みかけた話
それが
心地良い雨音みたいに
エッセイ漫画になってる

あまりにも自然体で
肯定的なことも
否定的なことも
フフッと温かい気持ちになることも
ツンと哀しいきもちになることも
全部、白でもなく、黒でもなく
心地良いグレーが広がってて。
小さなエピソードが転がってる
作者の暮らしの一コマを
「そんなかんじの今日の人生」
っていうスタンスで描かれてて。
その世界観は
今のわたしを
優しく認めてくれた。

益田ミリさんが、作中で
映画や、音楽や芝居や、本を読むことは
自分の世界に「手すり」をつけているみたい。
ちょっと弱った時
よろよろと手をつける場所になる、
みたいに表現されてたのが
すーっと沁みてしっくりした

ああ、ほんとだなぁ。

今日、この本に出会えたわたしの
「今日の人生」
私が この本を選び取った嗅覚を
褒めてあげたい


ああ、こんなふうに
自分を自分で認められたのって
久しぶり

ありがとう
益田ミリさん
「今日の人生」

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