映画感想文
「友だちのうちはどこ?」
アッバス キアロスタミ監督のイラン映画
イランの北部にある村の小さな小学校。
ノートに宿題をやってこなくて
度々叱られている主人公の友人。
先生が「次にやったら退学だ」と言い放つ。
その日の放課後
主人公は その友人のノートを間違って持って帰ってしまったことに気がつく。
「次にやったら退学」
先生はそう言ってた。
友人が困ってしまう。
けれど、主人公は
お母さんのお手伝いも
赤ちゃんの世話も
お使いもある。
もちろん自分の宿題も。。
でも友人はノートが無いと困ってしまう。。
とても遠くから学校に来ていた親友だった。
主人公の男の子は
家を抜け出して、友人にノートを届けるべく
走り出す。
友人の履いていたズボンを手がかりにして
家を間違えてしまったり
同じ苗字の別の家の人を追いかけてしまったり
聞き齧った、ありきたりの目印が
あちこちにあって家が特定できなかったり、、
あたりはどんどん暗くなって
はやる気持ちと裏腹に、
ゆっくりしか歩けないお爺さんに道案内してもらったり。
奔走するも
結局、目的を果たせぬまま、
帰宅する。
晩御飯も喉を通らず、
翌朝は遅刻。
ノートと、小さな花のエンディング 。
この映画を観て、
子どもの頃、
大人の言うことは「絶対」で、
どんなに理不尽でも
逆らえなくて、、、
でも子どもながらに
正義もあって。
うまく言葉で伝えられなかったり、
「こどもだから」と相手にされなかったり
そういう
悔しくて
心細くて
やるせない想いを
ありありと思い出す。
鑑賞者として映画を観てると、
「でも先生、、!」とか
「でもお母さん、、!」とか
「もっと大きな声だしてごらん!」とか
主人公の味方をしてやりたくてヤキモキする。
誰の手助けも得ず、
不器用に
友人のために、じぶんの正義を通そうとする主人公が、
健気で、強くて、可愛らしくて、いじらしい。
8才の小さな少年が、
諦めずに
何度も何度も駆け上がる、
ジグザグの坂道とか
迷路みたいな家々とか
埃っぽい土や風の音
洗濯物の音も
ドアの影も
お爺さんの ドアづくりの功績話も
犬の吠える声も
光も影も
遠くイランの小さな村の生活感が
不思議に美しく描かれている。
小さな男の子に宿る
信念を貫く強さが
すごくかっこよくて、
ありふれた生活の中に転がってる
たった1冊のノートが
一本の映画になる
その小さなスリルを描く監督の目線も
惹かれて
他の作品も見てみたいなとおもいました
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