![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/50667251/rectangle_large_type_2_6d7e077f9af6dad8a5003a174561e22d.png?width=1200)
進学校のジェンダー意識
「ラサールが共学なんてなるはずないよ」
男子校である鹿児島ラサール高校に通う教え子達が言った言葉です。
会話の内容をざっとかいつまんで書いてみると、
今の世の中、急速にジェンダー意識の変化が進んでるし、この先男子校出身はそれだけでディスアドバンテージになるかもしれんよ
何でですか?
自分も男子校出身だからよく分かるけど、卒業直後は自分と女性の違うところばかりが目に付いて異性を必要以上に意識してしまう。要するに女性の異化が激しいんだよ
でも、社会的には性は同化傾向にあるから知らぬ知らぬ間に持ってる自分の性意識が社会の基準と合わなかったりするかもってことよ
あんまりよくわかんないけど、どうせ男子校出身や女子校出身が多い大学に行くから大丈夫やと思います(笑)
あはは、暗に東大って言いたいんやな(笑)
なんて、そうは言うものの、ラサールだっていつまで男子校とは限らんやろ。実際、共学化の動きとかあるんやないとね?
ある筈よ
いや、多分そんな動きはないと思う。
ラサールが共学になるはずないよ
ざっとこんなところです。
全国的には、ここ15年くらいの間に男子校や女子校の共学化が進んでます。ここに来てその波は加速してます。共学化の当初は、限られた教育インフラをより効率的に回すことが目的だったでしょう。男子校の進学校を女子に門戸を開くといった地方の強い要請がありました。その後も少子化の流れを汲んで、経営効率化などが共学化の理由に挙げられます。ですが、ここ最近の流れは男女共同参画社会の観点に後押しされてるのは間違いないでしょう。社会のジェンダー意識の大きな変化の上に立っている共学化です。
当然、そうした流れを彼ら高校生たちは知る由もありません。私は彼らにこういう流れの説明をしました。それと同時に最近のジェンダー問題についても話しました。さすが現代っ子の彼らです。かなり当を得てるところもあって現状の認識は充分過ぎるくらい及第点です。学校現場の雰囲気も以前とは大きく変わっていることもあり、特に小学校はLGBTQを含んだジェンダー教育もされてるようです。
その上で、私は再びラサールの共学化について彼らに問うてみると、彼らは依然として共学化はしないと予測するのです。
それではどうしてそう思うのか、その理由を尋ねたら、口を揃えて、
「灘も開成も男子校やし、そこが変わらんと変わらんと思う」
こう答えるのです。
ライバル意識がそう言わせてるのかどうかはわかりませんが、何か強固な意思を感じました。
そこで、「ラサールや灘に入りたい女子もおると思うんやけど」、って言ったら、一人が
「なら桜蔭や女子学院行けば良い」
と言うのです。
そして、
「そうやん、女子校があるんやから女子校も共学になれば良いんよ」
「いやいや、そもそも男子校に来たがる女子っておると?
「おらんやろ、俺は女子校やらに行きたくないもん」
こう、会話が続くのです。
側で聞いていると、非常にわかりやすく興味を持って傾聴してました。
そして極め付けは、
「いや先生、絶対にOBが共学化なんて許さんと思う!」
この会話、日本のジェンダー問題の根深さを浮き彫りにしているようです。
日本を代表する進学校は当然ながら多くの優秀な人材を輩出しています。社会の中枢で多くの同門が活躍していて、そうした進学校の生徒たちは自ずと同族意識も強くなるのでしょう。その同族意識の中には少なくとも男子校や女子校と言った単一の姓で多感な思春期を過ごすという共通項があるのです。
かつての旧制高校や軍隊ではないですが、同性ばかりの環境で長い時間を過ごし、徹底して異化された性意識を持った者たちが築く社会。やっと、そうした社会が歪んで見えるようになってきました。私自身も身についた男子校の垢が辛く感じるようになってきました。
しかし、社会を動かす立場にある人々が依然として自分たちは別物というある種の特権意識を持ち続けてるのなら、日本のジェンダー意識の変革は遅々として進まないでしょう。それどころか、世界の中でもジェンダーギャップ指数が非常に低い現状は、むしろ肯定されてるのかもしれません。
このラサール生たちに、ジェンダー意識に関する教育はあるのか?と尋ねたら、あるにはあるらしいのです。ただ、彼らの反応を見ると、恐らく自分自身の問題としてではなくどこか別次元の問題のような捉え方をしてるような気がします。
それこそ、雰囲気です。
男子校のどこが悪い?
と言った現状肯定の強い雰囲気です。
男子校や女子校、特に女子教育において女子の地位向上に大きく寄与した女子校の成り立ちと存在意義は理解できます。また、別学は教育効果が高いという研究結果も報告されていたり、教育形態の多様性も認めなければなりません。
ただ、日本の現状を考えれば、もう少し力強くジェンダー問題に取り組むべきであり、その根幹はジェンダー教育です。成熟した社会構造を持っているならまだしも、後進的とも言える日本社会においては、むしろ率先して有名進学校の共学化を進めるべきではないでしょうか?
さて、これは極論ですか?
#ジェンダー #ジェンダー教育 #ジェンダー平等 #ジェンダーギャップ #男女共同参画社会
#教育 #受験 #子育て #家庭教師 #男子校 #女子校