【農】籾殻
畑利用としての籾殻
籾殻は分解が極めて緩慢で、微生物により色はすぐに黒っぽく変色しますが分解されるまでに3年~10年以上かかる上に多量要素が1%にも満たないので肥料には向いていません。
しかし、逆にその分解されにくい特性を活かすことでパーライトの代わりとした排水性や通気性の改善の効果が期待できます。
また、炭素率が96%なので本来ならば分解される時に土壌内の窒素を消費してしまい窒素欠乏となるのですが、籾殻は分解が極めて緩慢なため一度に窒素が消費され窒素欠乏になるということもなく土壌改良に利用できる。
また保湿・保温性に優れています。
畑においての籾殻の再利用の用途
マルチリング
パーライトの代用
籾殻燻炭
籾殻灰(ケイ酸)
ぼかし肥料
籾殻でマルチリング
メリット
保温性の向上
保湿性の向上
雑草抑制
泥はねの防止
デメリット
軽いため風などで消費しやすい
雀など鳥が集まりやすくなる。
カナブンなど卵の産卵場所に使われ、幼虫が土壌に入ってしまう。
水をはじくので過剰に被せると水切れのリスクが高まる。
生の籾殻を土壌に投入
メリット
通気性の向上
排水性の向上。
もみ殻の外側は固いですが内側は柔らかく、微生物が住み着きやすい環境。
土壌改良の土台として有効。
デメリット
排水性の向上による肥料流れのリスクが増える。
通気性の向上により、乾燥しやすくなる。
籾殻には油分が多く含まれており水をはじく性質があるため、入れすぎると土壌水分が不安定になり ″ 水切れ ″ を起こしやすくなる可能性が高くなります。
土に対して籾殻の割合が多いと根張りの支える力が弱まり植物が倒れやすくなる。
籾殻くん炭
籾殻を不完全燃焼状態で炭化させたもの。籾殻の固い殻は主にケイ素からできています。多量要素は少なく微量要素である銅・マンガン・鉄・カリウムなどのミネラル成分を含んでおり、燻炭化することでこれらのミネラルが溶出しやすくなる。
メリット
籾殻以上に通気性の向上があがる
籾殻以上に排水性の向上があがる
土壌改良の土台として有効
熱を受ける際、炭酸カリウムや炭酸ナトリウムなどの成分が生成されアルカリ性となるので、酸性に傾いた土壌を中和することができる。
備長炭同様、脱臭作用効果があり、有機肥料の異臭を抑制する。
一部の害虫(アブラムシなど)は籾殻くん炭の匂いに反応することが確認されており忌避効果も期待できる。
ケイ酸などの微量要素が溶け出しやすくなる。
デメリット
土に対して籾殻の割合が多いと根張りの支える力が弱まり植物が倒れやすくなる。
排水性の向上による肥料流れのリスクが増える。
通気性の向上により、乾燥しやすくなる。
籾殻以上に軽く風などで消費しやすい
量や条件によっては何日も火種がある場合もあり火事などの危険性がある。
住宅地などでは、籾殻を炭にするための作業は困難。
籾殻灰
400℃で焼成した籾殻灰は有機物成分が10%程度残存する。シリカが結晶化しておらず溶解しやすいた。水溶液酸性化の原因となるカルボキシル基が少ないなどの特性を持つ。
メリット
シリカが結晶化しておらず、カルボキシル基が少ないために溶解しやすいためケイ酸として価値の高い資材となる。
ケイ酸によりアルカリ性となり酸性土壌を中和できる特性をもつ。
デメリット
ケイ酸資材として最も有効な焼却温度は400℃から500℃だが、これを大きく外れるとシリカが結晶化され溶解しにくくなるために、適切な焼却がされたか掌握できないとケイ酸資材としては能力が低下する。
籾殻の成分
無機元素
N(N₂)窒素 0.34%
P(H₃PO.₄)リン酸 0.15%
K(K)カリウム 0.37%
C(C)炭素 32.8%
H(H₄SiO₄)ケイ酸 20%*
*燻炭にすると20%~70%と炭化度や火力で大きく変わります。
炭素率
C/N 96.47058823529412%