死が美しいなんてだれが言った (福田和也さんや和田秀樹さんのことなど)
今年の夏、生まれて初めて冠水した道路を通り抜けた。入水したが最後、これクルマ平気なの ? って怖かった。早く終われ~ってアクセル踏み込んだのはどうやら逆だった。そこはゆっくり行かないとダメだったみたい 。
家まであと5分 ! のところで試練が待っているとは思わなかったので、実はそういう地形だったんだねって生きてるうちに気づくことができた。異常気象と共に。
書評が載ってるから、土日だけ日経と朝日をコンビニで買ってるんだけど、先週は昼間に寄ったセブンに朝日が置いてなくて。
晩酌のハイボールをあおったところで、そのままにしちゃったの思い出した ( アルコール最近は土日だけにしてる )
ギリ間に合う時間だ ( その日の朝刊って夜には回収されちゃう )。変なところに気が済まない強迫観念があるので、食べ終わってすぐ、ウォーキングがてら買いに行くことにした。酒気帯びウォーキンには慣れてる。
いつもとは真逆の方向の、朝日新聞を多めに置いてる LAWSON に向かう。暗い夜道、残っててくれ~という焦りと、すぐ脇をクルマが速度を落とさずに抜いていく恐怖とで、行きは思わず「超ハヤ速歩」になってた。
朝日系 LAWSON、やっぱ間違いなかった。帰りは足どりも軽く…と、何故かならない。あ、登り。勾配だったんだ。なだらかに、緩く。それがずっと続いてるような道だった。行きの軽快さはそれも後押ししてたんだ。
そもそも隣の町が丘のようになっていて、坂の下になってる地形で、大雨が降ると当然この地に流れ落ちてくる。さらにこの勾配の下流にあたる LAWSON 帰りの地点こそ、先日の、人生初の冠水ロード、抜けられたら…修理の費用はゼロ円チャレンジ ! のスタート地点だった。府に落ちた。というか、なぞるように歩いて、体を使って理解できた。
ウチの猫たちは「カリカリ」( ドライフード ) しか食べないけど、若い猫子たちはガツガツモリモリ、毎食おいしそうに食べる。それを見てて、味気ないなぁ。そもそも飽きないのかな~? っていつも思ってた。
だがしかし ! 今のわたしはミックスナッツを主食にしてる。そして三種のミックスナッツ ( 素焼ね ) では、糖質が多めのカシューナッツのせいか体重が増加してしまい、さらにクルミは高価なのでアーモンドのみ、つまり何なら猫ちゃん並みに、単品のカリカリだけで行けるような気にすらなっている。
今年も健康診断の季節が近づいてきた。
糖尿病 ( Hba1c 11.9 ! ) やらコレステロールやらの数値がマジやばいことを自覚したのが2023年2月の1年7ヶ月前で、その年つまり昨年の10月の健診ではHba1cは正常値 ( 5.7 ) にできた。以前と違い、もはや何の心配もしていない。
この間の、食生活を中心とした毎日の生活習慣は、朝から晩まで一つひとつの行動とその結果を意識しながら、正になだらかな坂道を上り下りしてるような感覚で続けている。
以来、すこぶる体調はいい。
そもそも2020年のコロナで、マスクにうがい、消毒を「変なところで気が済まない強迫観念」で続けているお陰なのかコロナどころか風邪も引いてないし、そこに「糖尿病 ( マイ ) ブーム」が加わって日常のコンディションはさらに良くなってしまった。
大したことはしていない。糖質を最小限に抑えて食物繊維を摂り、間食にナッツ、夕食後にヨーグルトを食べ、最小限の筋トレとウォーキングをして眠くなるので寝る。早く目覚めるので風呂に入り、会社に行く。平日はそれだけ。
アップデートはしている。内科の先生に「健診前に食べないのは何故なんですか? 」と聞いて自分の頭で考えてみたり、歯科で「糖尿病になりました」とコクれば「1日5回、歯を磨きなさい」と言われたり、血圧や、腸活にも関心が向いたり『トリセツショー』を真面目に観たり ( 小さじ1杯のアマニ油が加わった )
大したことはしてないが、いろいろと知識が広がっていく。知識というものはすでにある知識に繋がって、くっついて、結び付いていくものなのだ。体を使って理解しながら。
「健康診断の何が問題かというと、“異常値”が出ると薬を押しつけられることです。血圧が高ければ降圧薬、血糖値が高ければ血糖降下薬。さらに腎臓、肝臓、心臓などの臓器に異常値が出れば、何種類もの薬が処方されます。そこで懸念されるのが『多剤併用』の害です」
6大分野別 クイズ「バカの壁」
Q1健康長寿のためにはなにが重要か
A▶️血糖値や血圧を下げる
B▶️好きなものを食べる
(和田秀樹『PRESIDENT』2024.10.18号より)
それはそうかもしれないが…
健康を維持する上で「栄養」が重要で、日本人の死因トップが結核から脳卒中に変わり(結核が減った理由はアメリカ軍が配った脱脂粉乳により免疫力が上がったことによる) 食生活が豊かになって血管が丈夫になり脳卒中も減り、1981年からはがんが死因トップになった。
その理由は、日本のバカな医者たちが「肉を食べるな」と言い出したことでコレステロール不足で免疫力が低下したことによるとして、
「そこで手っ取り早く栄養を摂るうえでお勧めなのが、ラーメンです」
( ラーメンスープを飲んで目指せ健康長寿 )
答え B▶️
好きなものを食べるほうが、健康になれる。
それこそ「大ウソ」と言っていい。
しかし事程左様に…
ラーメンを否定するのは困難な時代だ
「だが現実は厳しい。厚生労働省の21年の分析によると、保健指導で血圧やコレステロール値は明確には改善しなかった。血糖値も改善幅は0.1%未満だ。『健診や保健指導の効果はほとんどない』とする研究者もおり、年数百億円とされる事業費に見合うかは疑問だ」
「効果が出ない一因は健診や肥満にまつわる誤解や偏見 ( スティグマ ) だ。現場では『保健指導では生活習慣が悪いと怒られると思っていた、と話す人がいる』との声もでる。健診で異常を見つけても、指導を避ければ病気につながる」(日本経済新聞『迫真 肥満ウォーズ4 メタボ健診、効果なき16年』より)
それとか、
「確かに放置すれば怖い病気だが、実は早期診断・早期治療によって糖尿病以外の人と同じくらい健康的に長生きができる」( 糖尿病専門医の大西由希子医師 )「糖尿病の早期発見のためには、とにかく毎年の健康診断を欠かさないこと」(八十島唯義院長)
言うこと聞かない方が問題なのよ、実際は。
「一方、痩せた人のなかにも禁煙、健康的な食事、高い身体活動量、適度な飲酒、定期健診などを怠らずに生活しているがゆえにBMI20以下を保っている人たち、つまり”健康な痩せ”も含まれています。後でハーバード大学のデータをお見せしますが、そのような”健康な痩せ”は25年以上生き延びる可能性も十分あります」
(灰本元『50歳を過ぎたらダイエットしてはいけない メタボの嘘と肥満パラドックスの真実』文藝春秋)より
前にも取り上げた灰本元さんの本にあったように、あくまでもセカンドチョイスとしての「小太り」( による長生き ) なんだと思う。
和田秀樹さんの主張とは似て非なる ( と、思う ) 俗耳に入り易いのはタイトルだけ、中身はマジメな学術論文調のせいか思ったほど売れてないようだし、残念ながら話題にすらならなかった。が、紛れもなく渾身の一冊、今後の評価が待たれる本だ。
この世に甘美な物は、どれ程あるだろう。紛れもなく、美しく甘い、シャトー・ディケムやジレといった、黄金色の酒。秋の木の実をたらふく食べた野鹿の、南海の花粉のような芳香を発する肉、唇の先で震える片貝の腸の凍てつくような歯ざわりにも、形容を越えた味わいがある。
しかしまた、夏の夕暮れに、路地に打たれた水から立ち上がる匂いも甘く、冬の終わり、深酒に浸った早朝に見る、白木蓮の蕾みの先の尖りも甘い。普段見逃していた、屑鉄か何かがおいてある近所の空地に、夜目突然満開で現れる桜も、恐ろしく、甘い。
訪れそびれてしまった人の、部屋の鍵がポケットで立てる音。借りたままになってしまった、名前も知らない娘のハンカチの手触り。突然、それと解る失寵の気配。かつての女王が、耳許にかすかに残す面影。
無為に暮らした時間が、過ぎ去って行く速さも格別に甘く、突如蘇る、遥か昔の裏切りも、仄かに甘い。
生きているという事自体が、その味わい嘗め尽くすべき瞬間と我に反る機会の総てに於いて、甘美たりうるし、残酷な程甘い物である。此岸を「彼方」として生きる明確な意思さえあれば、人生は「甘美」な奇蹟で満ち溢れる。
福田和也『甘美な人生』(ちくま学芸文庫)
福田和也さんが逝ってしまった。
( 長々と引用、いつものように省略できない )
甘美な人生。すべてを回避したいわたしの心に、すべてを肯定できる精神への転回をもたらしてくれた、特別な文章。だがそう言えるのは、本当にうまいものなど食べたこともないからだ。
人間関係ならまだしも、ガストロノミになど縁がない。文に殺られた。
痩せて、吐いて、吐くものもない、弱った猫に甘美はない。代わってあげたい、けど、代わっても辛い。本当の苦痛は甘美ではない。
言葉は人を殺す。
福田和也さんのご冥福をお祈りします。
あたりまえだけど俺は医師ではない。
あたりまえだけど俺は文学者ではない。
医師としてのみならず『大人のケンカ必勝法』( PHP ) とか膨大な著書を持つ偉大な売れっ子作家の和田秀樹先生に物が言えるわけがない。売れまくっている。人気、作家の。
専門家じゃないが、雑誌が好きな、雑な人間だから、雑なことを言ってでも、雑でも頑張ってるような、仲間の命を縮めたくはない。
このまま雑に生きてもいいかな ?
こんな適当、書いていいのかな。
( アマチュアがいっぱい ! note って最高だ。)
今週も読んでくれてありがとう🐱