僕は、妻との写真を撮るための旅行をする
写真を撮るために旅行をする、旅行をして写真を撮るのではなく。
数年前にカメラロールを見返したある日、僕は愕然とした。
妻との写真全然ないやん
旅行をするとき、僕たちは毎回テーマを決めている。例えば、「美味しい海鮮丼を食べるために金沢に行く」とか「美しい自然を見るために北海道に行く」とか。
これらは食事や観光がテーマなので写真がメインにはならない。そしてテーマである海鮮丼や自然の写真は撮っても、他の写真は撮っていなかったりする。
さらに当時の僕は自分の顔をアップで写すことへの抵抗もあり、なかなか「一緒に写真を撮ろう」と声をかけられなかった。
そしてカメラロールを見返したとき「もっと2人の写真を撮っておけばよかった」と後悔したのだ。
ならばいっそのこと「写真を撮る」ことをテーマにすればいいのでは?
旅行といえば、美味しいものを食べて、綺麗な景色を見て、おしゃれなホテルに泊まるものだと思い込んでいた。
固定観念に囚われていた。
そこで僕は妻に、撮影がテーマの旅行を提案してみた。
すると妻はふたつ返事で乗ってくれた。
「いいね、やろう」
妻は僕のやりたいことや考えたことをいつも尊重してくれる。素敵な妻と出会えて僕は幸せ者だ。
こうして撮影旅行の開催が決まった。
言い出しっぺの僕が撮影旅行の舵を取ることになり、やることを書き出していく。といっても普段の旅行とあまり変わらないのだが、新規プロジェクトを始めるようにワクワクしていたのを覚えている。
僕たちは形式立てて物事を整理することが好きなので、最後までこのプロジェクトを楽しみながら実行することができた。
そして撮影旅行をやってみた。総論、とても良かった。
良かった点
良くなかった点
撮影旅行の当初の目的であった、「妻との写真を撮る」ことは達成できた。また写真は一生もので、後に結婚式で使ったりインテリアとして部屋に飾ったりと、さまざまな場面で活躍している。
良くなかった点も、自分たちの体力を過信せず雨バージョンの計画も立てる、といった感じで対策はできそうだ。
そしてもう1つ、最も良かった点があった。
撮影旅行というこのプロジェクトを達成するために、事前準備を他の旅行よりも入念に行った。当日も、アイデアを出し合ったり何度も撮り直したり、お互いに妥協を許さず成果物である写真のクオリティを高めるための努力を続けた。
ただ楽しむだけではなく、真剣だった。
そして写真という「作品」を一緒に作りあげるこの旅行を通して、僕たちの絆がより深まった。素晴らしい作品を作れたときの達成感がたまらなかった。
これからも僕は、妻との写真を撮るための旅行をする
次はどんな作品を作ろうか