Vol.23 短所はやっぱり長所だった話
私は口下手です。
どちらかというと、よーく考えて整理するタイプで、瞬発力がないので、議論は不得意です。
後で良い考えを思いついて、「こう言っておけばよかったのにぃ」と後悔することがしょっちゅうです。
短所は見方を変えれば長所でもある、とよく言われますし、実際そうだと思いますが、口下手だけは短所でしかないなと思っていました。
ところがです。先日その考えがゴロンと覆されたのです。
悶々とした会話
会社で昼休みに、ある人と初めて会話をした時のこと。
初めてだし、探り探り話をしていました。
その人はいろんな情報源を持っているようで、とても物知りで、会社の事業について語っていました。
よく話す方だったので、私は聞き役に回っていました。
ただ、ずっと違和感がありました。
それは、知識をベースに会社の現状がダメだと否定するだけで、だから今後どうすれば良いかという視点が抜けていたのです。
なので私は「それはそうだけど・・・」と何か言いたかったのですが、口下手&勢いに負けて、結局聞き続けただけで昼休みが終わってしまいました。
案の定、この日は不完全燃焼感に包まれて午後を過ごし、悶々としながら退社しました。
でもそれで良かった
でも、帰宅途中にふと気づいたのです。
そういえば最近は心理的安全性の確保がとても重要で、まずは否定せずに聞く、傾聴する、というのがマネージメントの主流になっています。
主流というか、私流に言うと、本来その方がよいに決まっているマネージメント手法です。
この視点から言うと、理由はともあれ、ずーっと聞き役に回っていたことは、相手にとっては心地よかったのではないか、と思ったのです。
勿論、口下手だからという理由は悲しくて、瞬発力があって思考もできていて、それでも傾聴に徹することができるのがベストです。
でもそれって凄くストレスが溜まりそうです。
メッチャ話したいのに話せない、というのは苦痛ですよね。
なので、理由はともあれ、反論して論破しようとするよりは、はるかに良かったんだと気づいたのです。
短所は長所
ということで、これだけは短所でしかないと思っていたことが、見方次第でやはり長所と捉えることができると分かったのです。
かなり難しいですが、マネージメントにおいても、この視点は大事にしなければとしみじみ思った経験でした。
ところで、さらに重要なこととして、「では次は頑張るぞ、万全の準備をして議論してやろう」と考えるのはおそらく間違いです。
それよりも、どうやったらその人が一つ高い視座から、一歩先の話をできるようになるのか、を考えて会話することの方が大事だと思います。
それをじっくり考えることの方が、お互いにとって、より良い会話や体験につながるはずです。