海外ドラマで語学していて気づいたこと:ドラマはその言語圏の何かを反映している?
ドラマや映画を観ながら語学するって良いですよね。
僕は好きです。
「そんなの勉強ではない」という声もあるかもしれませんが,実は第二言語習得の分野でもだんだん注目が集まっていて研究が増えてきています。
ドラマや映画で外国語を勉強する方法は Extensive Viewing などと呼ばれていて,Extensive Reading(多読),Extensive Listening(多聴)の「観る」版にあたります。
今日は特に専門的なお話はしません。
今日は,ドイツ語学習のための良いドラマがなかなか見つからないという経験を通して気づいたことについてお話しします。
語学向けのドラマ
何が「語学に良い」ドラマなのかは,もちろん人それぞれだと思うんですが,僕としては以下の点が条件だと思っています。
会話が多い
観ていて楽しい
会話が多いのは大事ですね。
言語を学ぼうとしているのに,銃撃戦やカーチェイスばかりでは学べません。
それから観ていて楽しい,つまり内容が面白かったり,登場するキャラたちが面白かったりすると良いと思います。
もちろんシリアスな内容やサスペンスなどが好きな人もいるとは思いますが,個人的には,内容が薄くのほほんとしたドラマが語学向きかなと思います。
英語の時はどうしていたか
僕が英語を学んでいたときは,とにかくSitcom と言われる20分程度のコメディドラマ(笑い声が入っているようなもの)を主に見ていました。
特にこれまでエピソードの全話を見たのは,The Big Bang Theory,How I Met Your Mother ,Brooklyn Nine Nine あたりです。
ドイツ語のドラマ
こういうジャンルが好き & 語学に向いていると思っているので,ドイツ語でもそういったものがないかなと思い探しているんですが,なかなか見つかりません。
ビデオ配信サービスで契約しているのがNetflix, Disney +, Amazon プライムなんですが,語学にはNetflixが圧倒的に向いていると思います。
特に英語以外の言語でもたくさん映画やドラマがあるのがNetflixの良い点です。
そこで,Netflix でドイツ語のドラマを調べたり,Googleでも検索したりしたのですが,なかなか良いのが見つかっていません。
いや,実のところ「良いかも?」と思い,見てみたドラマはいくつかあります。
具体的にはBiohackers というものと Dogs of Berlin というものです。
どちらも結構シリアスな内容です。
結局,何話かエピソードをちゃんと見たのは Dogs of Berlin の方です。
内容は,すごくシンプルに言うと,主人公が警察で殺人事件があり,その真相を追っていくというものです。
ネオナチ,マフィア,移民問題,人種差別など,ドイツの社会問題と思われるものを描いていてなかなか面白いんです。
正直,ハマる人はすごいハマると思います。続きが気になる作りにもなっています。
ですが,暴力的なシーンが多かったり,日本のドラマでは絶対に無いようなシーンがあったり,描写が生々しかったり,まあ正直見ていてあまり良い気分にはなりませんでした。
そして,ふと「あれ,これ何のために見てるんだっけ」と思ったんですね。
「楽しく語学するためじゃないか」と。
そこでこのドラマを見るのは辞めてしまいました。
裏技?失敗に終わる
先日,Disney + で映画を見ていて,音声と字幕をものすごい数の言語に切り替えられることに驚きました。
しかもDisney + は最近STARというジャンルが加わって,ディズニーではない映画やドラマも見られるようになりました。
そこに,上で書いた How I Met Your Mother が追加されてたんですね。
そこで閃いたんです。
「このドラマをドイツ語音声,ドイツ語字幕で見れば良いじゃないか!」と。
一度見たことがあるし,面白いとわかっていたので気分上々でした。
で,実際に見たんですが,残念な結果に終わりました。
何が残念だったかというと,音声と字幕が全然合っていなかったんです。
英語のドラマを英語字幕で見ている時も,多少違うなって時はもちろんありますよね。
字幕は文字数に制限があったりするらしいので,字幕では音声よりはちょっと短く言い換えられているってことはよくあるんですよ。
ただ,これは全然許容範囲なんですよね。ほんとちょっと削ったなってくらいなので。
ですが,ドイツ語音声,ドイツ語字幕で先ほどのドラマを見た時は,「ちょっと削った」というレベルではなく,ほぼ完全に言い換えられていて,全然字幕と合っていなかったんです。
「これではダメだ」ということでこの作戦は失敗に終わりました。
求めているものが間違っているのかもしれない
そこでふと,これは僕が求めていたものがそもそも間違っていたのかもしれないと気づきました。
つまり先ほど挙げた僕の好きなSitcomって結局それ自体がそういった英語圏の文化を反映しているものであって,それを他の言語・文化に求めるのは違うのではないかと思ったんです
実は以前,フランス語やスペイン語のドラマを探しているときも同じような経験をしました。
その時は「シリアスな内容が多いな」と思ったんですね。
きっとそれは,その言語圏の文化をおそらく反映しているのでしょうし,その言語圏ではそういったジャンルが人気があるということなのかなとも思いました。
逆におそらく日本語を学んでいる海外の人は日本のドラマは「なんだかラブコメが多いな」と思うかもしれません。
実際,僕は中国語のドラマを探しているとき三国志などの時代ものやラブコメしかないのかなと思ったことがあります。もちろんちゃんと探せば色々とあるのでしょうが,あくまでその多くはということです。
この経験を通して言語はもちろん文化と繋がっているけど,その言語圏で制作されるものもその価値観や文化を反映しているんだなと改めて感じました。
話はちょっと変わりますが,外国語好きな人で,ハリーポッターや星の王子さまなど,元々自分が好きな作品を自分が学んでいる言語で読んでいるという人は結構いますよね。
それを聞いて,例えば「フランス語でハリーポッターなんてけしからん。フランス語で書かれた文学を読むべし」とか「ロシア語でハリーポッターなんてけしからん。ドストエフスキーを読むべし」とか「ドイツ語で…(以下同様)」
みたいな批判めいた?意見もあるかもしれませんが,僕は別に好きな作品が翻訳されているのなら,それは「ラッキー」と思って読めばいいと思っています。
ですが,先ほど述べた通り,例えば自分の好きな作品が自分の学んでいる言語に翻訳されていないことを嘆くのは違うのだなと思いました。
つまり〇〇語を学んでいて「ハリーポッターが○○語に訳されていないじゃないか!」と文句を言うのは違うと言うことですね。
*実際ハリーポッターは何言語にも訳されていて良い例が出せず〇〇にしました(笑)
参考:
まとめ
海外ドラマで語学することから大分飛躍してしまったかもしれませんが,言語を学ぶことはある意味新しい価値観や文化を学ぶことですよね。
それを踏まえて自分が今まで見てこなかったような作品も受け入れる or 経験してみることを含めて言語学習なんじゃないかなと(今更ですが)思うようになりました。
では今日も楽しく語学していきましょう。さようなら〜。
*皆さんのドラマのおすすめ教えてください。ドイツ語,スペイン語,フランス語,ロシア語,アラビア語,中国語,などなど,もはや何語でも…