読書メモ20年15

概要

(題):AI vs. 教科書が読めない子どもたち
(著):新井 紀子

おすすめ度

★★★★☆

サマリ

2018年2月出版と約2年前。AIは何でも出来る魔法のツールのように思われていた時期に、世間へ問題提起をした本。AI=人工知能と、AI技術=自然言語処理技術、ディーブラーニング、機械学習、強化学習は全く異なるものであると定義する。現在世の中に出ているAI(技術)はコンピューター、つまり計算機であり、四則演算しか出来ない。よって本質的に意味を理解しているわけではなく、意味を理解している風に表現しているだけである。
世の中の理全てを数式で表せない限り、人間を超えるシンギュラリティなど来ないと数学者らしく、論理的に説明。論拠は非常にシンプルだが興味深い内容でした。

抜粋

AI進化の歴史
第一AIブーム:自動的に数学の定理を証明する「ロジック・セオリスト」
第二AIブーム:ある問題に特化させたAI「エクスパートシステム」
第三AIブーム:データ量の拡大に伴う「機械学習」
※教師データを作り、特徴量を設定し、与えられたデータを繰り返しパターン学習して精度を上げる統計的な方法論。そして、どの特徴に目をつけるかをAIにさせる手法が「深層学習」

AIは意味を理解しているわけではない。計算機なので、四則演算しか出来ない。数学に出来ることは限られているため、人間の認識や事象を数式に置き換えることは出来ず、人工知能は現状ありえない。
数学は、長い歴史の中で、論理・確率・統計という言葉のみを獲得した。「意味」を記述する方法が現在ない。よって、「私はあなたが好きだ」と「私はカレーライスが好きだ」の本質的な意味を数式で表せないため人工知能まで昇華出来ない。

しかし、人間の仕事は大半代替されると悲観的に見ている。というもの現在のAIが苦手とする意味を理解する力を今の人間は失っているからである。
大学生数学基本調査でも、問題文を理解していない人が大半という結果に。求められるのは、「意味」を理解出来る人材だ。


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