メテオラで天空の修道院を拝んで
ギリシャ第二の街テッサロニキには、夕日という素晴らしい観光資源がありました。少し時間が経つだけで見方は大きく変わり、自然の素晴らしさを実感させられました。
しかし、せっかくこの街に5日間も滞在するなら、とギリシャ内の有名なスポットを目指すことにしました。
思い立ったが吉日。一昨日の夕方、SNSで他の旅人からおすすめしてもらったメテオラ(Meteora)へ弾丸日帰り旅行に行くことを決めました。
早速行き方を調べたところ、アテネから電車で向かうのが個人旅行の定番ルートではあったものの、テッサロニキからも電車で向かえることが判明します。
電車であれば、時間は正確だし、バスと比べてトラブルも多くはありません。迷う暇もなく電車のチケットを購入し、昨日は朝早くからメテオラへ日帰り旅行に向かいました。
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出発
朝8時、テッサロニキを出発した電車は、エーゲ海を眺めながらギリシャののどかな大地を進みます。
だいたい2時間乗って着いたパラエオファルサロス(Palaeofarsalos)で降ります。
ここで乗り換えがあります。次の電車が来るのは1時間後。その間、近くの田舎町を歩いてみることにしました。
駅前からのどかな田園風景が広がっていました。畑が広がり、遠くには雪を被った山々が見ます。
人がいない。住宅街に進むと家家には洗濯物は干してあるため、ここには生活があることがわかります。この風景を見ながら、空間にどっぷり浸ります。
ゆったりとした時間の流れに気持ちが穏やかになっていきます。
嗚呼、良い。
駅に戻り、ベンチでのんびりしてから、次に来る電車を待ちます。
11時、アテネ方面から来た電車に乗り、メテオラの麓の町カランバカ(Kalambaka)に向かいます。電車は少々混雑していました。
先ほどとは異なり、今度は山に向かっていく車窓の風景に、徐々に気持ちが昂ります。
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カランバカに到着
12時、目的地のカランバカに到着。電車に乗っていたほぼ全ての人が下車しました。ここはギリシャの小さな山間の町で、チェーン店のないこぢんまりとした場所です。
駅の目の前には、大きな岩がいくつもそびえ立っています。
すごい。。
ついついため息がこぼれます。この岩壁の上に修道院があるんだ。考えるだけでワクワクしてきました。
通りすがりのベーカリーでお昼に食べる用のパンを買い、近くのバスステーションでメテオラ行きのバスを予約します。
冬のメテオラは閑散期です。メテオラからカランバカへの最終バスは13:30でした。今から行ってもそのバスには乗れません。
帰りは自分でどうにか戻ってくるしかないことが判明したものの、なんとかなるだろう、と軽い気持ちでした。
いくつかの困難?を突破してここに辿り着いたため、そんな状況でも僕は冷静でした。ずいぶんと大人になったものです。
30分も経たずにバスが来ました。しかし、乗客は僕ただ一人。メテオラはギリシャでも有名な観光地ではあるものの、訪れる人は大半がツアー。個人旅行でしかも冬に宿泊せずに弾丸で来る人は少数でした。
僕一人を乗せたバスは、どんどん山道を登り、メテオラに向かいます。
徐々に高度があがり、崖の上の景色が見えてきます。いくつかの修道院が見えてきました。
すごい!
想像をはるかに超えるその偉大さに驚きが隠せません。
なんて場所に来たんだ。ワクワクが膨らんでいきます。
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メテオラに到着
まず着いたのは「メガロ・メテオロン修道院」です。西端に位置し、一番大きい修道院と言われています。
対岸?から見ると、その立地に驚きます。そそり立つ崖の上に、その崖の端までみっちり広がった建造物。写真で見ていた以上のインパクトがありました。
中はどのようになっているかとても興味があったものの、今日は残念ながら定休日。諦めて次の修道院へ移動することにしました。
今回僕はツアーではなく個人旅行できました。そのため、メテオラでの移動は全て徒歩。それぞれの修道院は微妙に離れているため、徒歩では相当な距離を歩くことになります。
一応ブログなどで徒歩で移動している人のものを読んではいましたが、遠く先の修道院を目にし、ちょっと身構えてしまいました。
今日はとても良い天気でした。ギリシャに来てからというものの、毎日快晴。冬ながら、長い移動もあり、汗ばむくらいに体温は上がっていきます。
現在13時。帰りの電車が18:30発。下山するための公共交通機関はなかったため、17時までにはある程度見終えていたいと思いました。
あと4時間。移動も含めてどれだけ満喫できるか、少し不安になりました。
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修道院の中へ
次に着いたのは「ヴァルラム修道院」。まずは修道院近くの眺めの良い岩に行って写真を撮りました。
ここで一人のオランダ人の女性と出会い、ちょっと話してみました。一人でギリシを訪れ、メテオラのこの景色を見にきたそうです。感動してとても興奮していました。
そして、修道院の中に入ります。岩同士を繋ぐ橋を渡り、入場料の3ユーロを払います。急で狭い階段を登った先には、とても広大な景色が広がっていました。
小さくてコンパクトなギリシャの可愛い建築と、ゴツゴツとした岩肌の向こうに見える壮大な原風景。
このギャップが楽しく、心の底から楽しいという感情が湧いてきました。
修道院の中はギリシャ正教会の小さな聖堂がありました。カトリックやプロテスタントの広々とした教会とは異なり、壁中にフレスコ画の施された小さな空間です。
静寂に包まれて、しんみりとした気持ちになりました。
今、ギリシャの山の中、遥か天空の修道院にいる。
じわじわと実感が湧いてきて、この空間との一体感を感じてきました。
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山の中を歩く
しばらく山の稜線に沿って引かれた道を歩いていきます。時折すれ違う車から笑顔で手を振られ、長い道のりながら楽しい気分になりました。
この自然を眺めながら歩いていけるとは、さながら贅沢。
ツアーではない個人旅行でなければ気づかなかったことに気づき、少し幸せな気持ちになりました。
少し歩くだけでも景色は大きく変わり、自然の偉大さを改めて実感させられます。
眺めの良い岩に登って写真を撮ったり、すれ違う個人旅行の人たちとコミュニケーションをとったり、大きなアトラクションのようメテオラを楽しめていました。
一人で無心で歩き続けるのも爽快です。
いろいろと考え事をしようとしたものの、今というこの瞬間を実感することに興味が湧き、結果として何も考えない時間を過ごしていました。
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最後の修道院
だいたい1時間半ほど歩きました。ほどよく疲労感が溜まってきました。
到着したのは、メテオラの一番東端に位置する「アギオス・ステファノス修道院」です。この修道院からは遥か下のカランバカの町が臨めます。
徐々に傾いてきた陽の光が差し込み、小さな修道院の小さな庭園が綺麗に映ります。
天空の修道院という素晴らしい施設ではあるものの、元々は観光地ではなく、敬虔なキリスト教の聖地であるため、実際にここへきて拝んでいる人もいます。
この地が日常となっている人もいることに驚きつつも、そういった人生もあるんだと、ひとつ自分の中で納得できる部分もありました。
少し休憩してから、来た道を折り返します。
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下山
少し戻った場所にある「アギア・トリアダ修道院」は、メテオラの中でも特に急峻な崖の上に位置し、ネット上で検索するとまずこの写真が見受けられます。
この時すでに16時を過ぎており、残念ながら、今日はもう中には入れませんでした。
だいぶ日も傾いてきたため、予定を変更し、もう麓のカランバカに向かうことにしました。一日中歩き続けて疲労も溜まってきており、限界を迎えるまでに下に降りておきたい気持ちがありました。
今日一日を振り返ると、大自然に囲まれ、青空の下、素敵な修道院を見ることができて、とても良い時間を過ごせました。
結局、6つすべての修道院を見ることはできなかったけれど、そこに後悔はなく、むしろすっきりとした気分でした。
歩いている途中に気づきましたが、この修道院の前からはカランバカに向かう登山道が整備されており、歩いて下山することができるそうです。
ちょうどタイミングが良かったので、この道を歩いて降りることにしました。
道は本格的な登山道です。整備されているとはいえ、ケモノ道。一歩間違えればケガをしたり、遭難してしまうような場所です。
ただ、中学高校といくつもの山に登ってきた経験から、こういった山道は慣れています。
よく山は登山よりも下山のほうが、膝にかかる負担が大きいからつらいと言われます。しかし、4年前に富士山の下山(御殿場口の大砂走り)を山頂からわずか2時間弱で駆け降りた僕にとって、下山はむしろ得意分野です。
途中、ゴツゴツした岩肌を間近で見て、自然の感動を味わいながら、わずか30分で下山してしまいました。
あっという間すぎて拍子抜けしたものの、このメテオラの自然をまた違った角度から見れてとても嬉しい気分になりました。
疲れはあったものの、今は達成感や充実感が大きく、それらを感じながらカランバカの町を歩きました。
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ふりかえり
帰りにふらっと立ち寄ったレストランで、ギリシャ名物ギロスを食べながら今日という一日を振り返ります。
朝からハードに動き、ろくに飲み食いせずにここまで辿り着きました。クタクタになった身体に冷え冷えのコーラが身体中に染み渡ります。ジューシーなギロスはコテコテの美味しさでした。
今日という良い日を迎えられて感謝の気持ちがいっぱいでした。
世界遺産メテオラは、想像以上の驚きと興奮の地でした。
昔の人々が必死の思いで作り上げた崖の上の修道院は、単なる観光地ではなく、人々の心の拠り所にもなっているように思えました。
そこを日常としている人がいる。世界を旅する上で忘れてはいけない考えだと思います。
日常に中にお邪魔させてもらう。常に謙虚に生きていきたい。
そう思いました。
帰りの電車では記憶が全くないまでに寝てしまったものの、メテオラという偉大なる聖地を自らの足で回れたことへの充実感に包まれていました。
そんな一日。ギリシャがとても好きになりました。
旅の様子はこちらにまとめています。
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それでは、また明日お会いしましょう!