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南仏プロヴァンスのおだやかな気候の中で過ごし始めて
ふとした時に感じる心地いい感じ。
これがこの地域の魅力なんだな、って勝手に幸せになった。
Bonjour!
ワーキングホリデーでフランスに来て、3ヶ月が経ちました。
前回の投稿にも書いたように、この9月から南仏プロヴァンスの小さな町「サン=レミ=ド=プロヴァンス」(サンレミ)にある日本食レストランで働き始めました。
パリで1週間半、リヨンで2ヶ月間過ごしてから、サンレミにやってきました。
これまでのパリやリヨンは大都市。
当然、田舎町は不便なところもたくさんあります。
加えて、働き始めるため、これまでよりも規則正しい生活となります。
環境も日々の生活もガラッと変わり、ドタバタの期間を過ごすことになりました。
2週間経って、ようやく少しは落ち着いてきたところです。
昨年の春、フランスへのワーホリを思い立った時はパリで1年過ごすことを考えていました。
フランスと言えばパリ。
そんなミーハー心そのままになんとなくパリでの生活をイメージしていました。
しかし、実際にビザの申請を進めていく中で徐々に気持ちが変わり始めました。
申請時に必須となる計画書を作成する時、直感から南仏を候補に挙げてみることにしました。
パリだけじゃなくてフランスのいろんなところを見てみたい。
そんな好奇心が芽生え始めます。
同時に、僕の記憶の奥底にあったある思いが蘇ったのです。
南仏とは、文字通りフランスの南部地域のことです。
北仏、東仏、西仏とは言わないのに、なぜか南部地域だけは南仏と呼びます。
それはシンプルに、この地域が特別であるから。
地域としては主に北緯45度より南の地域を指します。
かつてより「オクシタニア」という独自の文化や言語を持っており、フランスでありながらどこか独自性のあるアイデンティティ持っています。
特に自然由来の成分を使った製品が多く作られ、自然と調和して生きる、という生活スタイルがなされています。
そして、南仏という名称と共に、しばしば「プロヴァンス」という地名がセットになります。
これはフランス南東部の地域名のことで、南仏の東側一帯を指す名称です。
南仏ないし南仏プロヴァンスは、同じフランスという国でも、パリやリヨンとは大きく雰囲気が異なります。
そして、その文化に紐づけられた地域性から、多くの人たちを魅了しています。
たとえば「地球の歩き方」ではフランスやパリとは別に「南仏プロヴァンス」として単行本が刊行されているくらいです。(こちら)
南仏はその文化だけでなく、過ごしやすい気候が特徴的です。
この辺り一帯は、「地中海性気候」という年中温暖で乾燥した気候として知られています。
高校地理で習う「ケッペンの気候区分」では「Cs」となり、夏季に乾燥する温帯地域です。
そしてこの地中海性気候は、人間が住むのに非常に適した気候と言われています。
地域で言うと、南ヨーロッパ・北アフリカの地中海沿岸、そして北米・南米大陸の緯度40度前後の西側が該当します。
アメリカ・カリフォルニアにシリコンバレーが誕生したのは、この過ごしやすい地中海性気候がその所以と言われるくらいです。
大学で地理学を専攻していた僕にとって、この地中海性気候というものがどんなものなのか、という興味がありました。
今回、フランスに来るにあたり、かつてのその思いが蘇りました。
気候とは旅行で数日間滞在するだけでは感じ取れないものです。
この地に住んでみることで、この良さを感じてみたい。
これが僕が南仏を選んだ理由です。
もっとも、プロヴァンス地域の評判の良さは日本でも一部の人たちにはよく知られているため、それも理由として挙げられます。
フランスは2度訪れたことのある僕でも、南仏はまだ一度も訪れたことのなかった地域です
でも、南仏に住めたらいいな。
そんな淡い期待から仕事を探していました。
なんとか日本食レストランの仕事を見つけ、配属先となったサンレミという町に住み始めました。
まだ2週間しか経っていませんが、それでもこの地域の良さをじわじわと感じ始めています。
僕は家から職場であるレストランまで毎日片道30分歩いています。
半分以上は何もない、自然に囲まれた道です。
最初は長くて大変だと思ってましたが、毎日続けると慣れてくるものです。
この道は、朝の出勤時と夜の帰路では景色が全く異なります。
朝は毎日太陽が照り付け、風がそよぎ、自然の中にいる感覚を強く感じさせられます。
夜は街灯のない真っ暗な道だけど、頭上には満天の星空。
なんとも贅沢。
隣に爆速で駆け抜ける車が走ってはいるものの、基本的には静かです。
時折強い風が吹くものの、雨は少ないため、今のところ支障なく過ごせています。
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今働いている日本食レストランでは、キッチンもホールもどっちも担当しています。
キッチンでは不慣れな料理を、ホールではギリギリのフランス語を。
(そして休憩時間はフリーランスとしてのデザインの仕事を)
そんな奮闘の日々を過ごしています。
フランスはオープンカフェの文化が強くあるため、レストランだろうが多くの人たちが外での食事を好みます。
僕の働いているレストランでも、車道を1レーン無くしてまで、テラス席を設けているくらいです。
ある日、お店の開店準備のため、テラス席をセットしている時でした。
その日は朝から雲ひとつない快晴。風はどちらかと言うと強めで体感気温は低い日でした。
ふと、爽やかな風が吹き、心地よさを感じたのです。
すっきりとした空気が体中を駆け抜ける感覚。
これだ…!!
夏のクーラーのような人工的なものではなく、自然本来の風で感じる心地よさ。
この瞬間、僕はとても幸せに感じました。
人間が住むのに適した気候とは、まさにこういったものなのかもしれません。
なかなか伝わりづらくて恐縮ですが、この感覚を感じられて僕はとても嬉しくなりました。
南仏プロヴァンスは小さい町が各所に点在していることが特徴の一つとしてあります。
そのため、基本的に車社会。
僕のように車を持っていない人は、なかなか大変です。
僕は昨日・今日とモンペリエという街まで旅行に来ていますが、町から出るだけで精一杯です。
電車がないし、バスの本数も少ない。
移動のしづらさは気になるところです。
それでも僕は満足感を感じられています。
ここでしかできないことをできている、という感覚が強くあるからです。
僕は年末までのたった4ヶ月しかここにはいません。とても短い。
だから、与えられた条件全てを楽しみたい。
大変なことも多いけど、それでも楽しみたい。
自分の決断を正解にするのも自分の役目だと思います。
これからもこの田舎町での生活は続きます。
↓ワーホリのきっかけなどはこちらに書いてます。