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D&Iに取り組む企業は19%株価パフォーマンスが高まる可能性

D&Iとはダイバーシティ(多様性)&インクルージョン(受容)の頭文字を取った言葉だ。近年、グローバルでは様々な研究結果からこのD&Iに取り組むことがチームのパフォーマンスや企業の業績にポジティブな影響を与えることがわかっており、日本企業でも経営課題として取り組む企業が急速に増えていることからも、耳にしたことがあるという人も多いのではないだろうか。

※D&Iと企業パフォーマンスについて、特に有名なマッキンゼーのレポートを参考に載せておく
https://www.mckinsey.com/business-functions/people-and-organizational-performance/our-insights/delivering-through-diversity

Delivering through diversity

ただ、こうしたデータの殆どは欧米諸国の研究が中心で、日本国内の企業に関し、D&Iがどれほどのインパクトをもたらすのかは、未だ明らかになっていない部分も多い。

JobRainbowでは今年、日本のD&Iに取り組む企業の認定制度「D&I Award 2021」を開催し、259社に認定を渡した。今回は、そのうちの日系上場企業61社の株価成長率を算出し、東証の単純株価平均の成長率と比較を行うことで、D&Iに取り組む企業とそうでない企業とにどれほどのパフォーマンス差が出るのかについて、単純な分析を行なってみた。
アワードレポートはこちら:https://diaward.jobrainbow.jp/conference/awardreport

対象企業は以下になる。

株式会社i-plug
freee株式会社
株式会社メルカリ
プロパティエージェント株式会社
ライフネット生命保険株式会社
アステリア株式会社
トレンダーズ株式会社
株式会社プラップジャパン
株式会社ガイアックス
株式会社じげん
株式会社ジンズホールディングス
株式木会社ランドコンピュータ
アイスタイルグループ(株式会社アイスタイル)
株式会社トリドールホールディングス
エン・ジャパン株式会社
サイボウズ株式会社
JSR株式会社
東急不動産株式会社
株式会社フレアス
株式会社ぐるなび
日本郵船株式会社
三菱地所株式会社
ウエルシア薬局株式会社
株式会社アダストリア
株式会社ルネサンス
株式会社オリエントコーポレーション
株式会社ソラスト
西日本旅客鉄道株式会社
東京センチュリー株式会社
株式会社丹青社
大東建託株式会社
エクシオグループ株式会社
セプテーニグループ
マネックスグループ株式会社
楽天グループ株式会社
株式会社ティーガイア
物語コーポレーション
株式会社オカムラ
三井住友信託銀行株式会社(三井住友トラスト・ホールディングス)
大日本印刷
ユニ・チャーム株式会社
日本オラクル株式会社
古河電気工業株式会社
日本航空株式会社
ハウスコム株式会社
株式会社みずほフィナンシャルグループ
全日本空輸株式会社
株式会社JVCケンウッド
株式会社丸井グループ
積水ハウス株式会社
帝人グループ
ソフトバンク株式会社
株式会社ベルシステム24ホールディングス
野村ホールディングス株式会社
NTTグループ
SMBC日興証券株式会社(三井住友フィナンシャルグループ)
西部ガスホールディングス株式会社
サツドラホールディングス株式会社
株式会社ZOZO
京セラ株式会社
SGホールディングス
オムロン株式会社

対象期間はD&I Award 2021のエントリー締め切りの2021年9月24日から過去1年間とし、2020年9月24日の調整後終値と2021年9月24日の調整後終値を比較し、成長率を算出。

結果として、D&I Award 2021 で認定を取得した企業の単純平均株価成長率は 33.69% となった。一方で、同期間の東京証券取引所の単純平均株価成長率は 14.8% (https://www.jpx.co.jp/markets/statistics-equities/misc/03.htmlであり、D&Iに取り組む企業は市場平均よりも 18.89% 高い成長率を記録していることになる。

簡単に言えば、2020年9月24日時点で、D&Iに取り組んできた企業の株を1000万円分買っていると、そうでない会社の株を買うよりも1年で約190万円ほどリターンが増えることになる。

アメリカでは既にD&Iに取り組む企業がそうでない企業よりも、高い投資パフォーマンスを得られることから、ニューヨーク証券取引所に、ダイバーシティに取り組む企業に特化した上場投資信託(ETF)が上場していたり、またゴールドマンサックスがIPOの支援を行う際に、取締役会の多様性を要件とすることを発表していたりする。国内でも、こうしたD&Iと業績の相関性についての調査が進めば、非財務情報を投資家が今以上に評価し、さらに企業の株価が上昇しやすくなるというビックトレンドが生まれる可能性があるだろう。

既に、世界最大の機関投資家といわれる年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)はESG投資の文脈で、D&I推進グループを組成、MSCI日本株女性活躍指数(WIN)をベースに3000億円規模の運用を行なっているが、まだまだ、「D&Iが株価に影響する」ということを意識している経営者は多いとは言えない。
https://www.gpif.go.jp/investment/esg_selection03_JP.pdf

2年後3年後、慌ててD&Iに取り組むのでは遅すぎる。日本企業には倫理的にも経営戦略としても、今すぐにでもD&Iに取り組むことを期待したい。

D&Iについて各企業の取り組みをさらに深く分析、特に先進的な事例についても紹介したこちらのレポートも参考にしてもらいたい。

D&Iに取り組む企業事例を掲載
各企業の取り組みデータを企業規模ごとに分析


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