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その人の本当の姿を知るには「言ってることよりもやってることに目を向けろ」の真意

とある講演会で『仮想通貨事業は未来がない』と言いながら、裏でこっそり大量にビットコインを買っている社長がいたり、若者に向けて『何者なんかになることよりも、とりあえず健康に生きてることが尊い』と言いながら、自分は世界を変えるために毎日徹夜して、身体をボロボロにしながら仕事してる起業家がいたりする。(あくまでも例えばの話)

話してる人の本当のことを知りたいのなら『言ってることよりもやってることに目を向けろ』は、ここで言う『でもビットコイン買ってるじゃん』とか『でも実際は自分の寿命を削って社会に尽くしてるじゃん』といった『ポジショントークを見破れ(悪意があるものないもの含めて)』的な意味も、もちろんある。

ただ、それだけでなくぼくは『話してる本人でさえももっと無意識になってしまってる部分に、聞いてる側は目を向けろ』という意味で『言ってることよりもやってることに目を向けろ』という言葉を捉えるべきだ。


もう何日間にもわたってセイバーメトリクスの落とし穴という野球本の感想を書いているのだけど、そのなかでこんな記述がある。

人間、自分が難なくできることや持っているものには価値を感じないし、誰しもできて当然だと錯覚しやすい。


この一文は、著者が相反する持論を展開する2人のキャッチャーについて話すという文脈で登場する。

1人のキャッチャーは『捕手は打撃が大事だ』と言い(ちなみに元ロッテの里崎)、もう1人のキャッチャーは『捕手は守備が大事だ』と言っている(by 野村克也さん)。

これに対して、著者はどっちが大事だというより、それぞれ自分の得意なことにはあまり価値を感じてないから、結果的に自分のあまり得意でないほうを『大事だ』と言いがちだと書いていた。

つまり、元ロッテの里崎選手は、守備が得意で、それができるのは当たり前だから(=他の捕手も自分と同じように守備は簡単にできると思っているから)、差がつくのは打撃だとい意味で『捕手は打撃が大事だ』と言っている。

一方で、ノムさんは打撃が得意で(以下省略)。

そんな感じで、持論に紛れている優先順位などは特に、その人の無意識的な要素が思いっきり反映されていることに留意しようという意味でも、ぼくたちは『言っていることよりもやっっていることに目を向けろ』という言葉を捉えるべきだと思う。

・・・

もう今日のメッセージは言い終わってるのだけど、ついでにぼく自身も『好きなこと(得意なこと)には価値を感じにくい』という出来事に遭遇した話をば。

ぼくのいる会社の主力事業はデジタルマーケティング事業なんだけど、コンサルティング担当の人は、毎日媒体の管理画面やエクセルなんかとにらめっこしながら、細かい数字の調整をしている。

それでその会社に入社することにした身ながら、ぼくは性格上、毎日数字と向き合い続けることはたぶんあまり向いてないので、『弊社のコンサル担当の人、毎日地道に数字と向き合い続けてすごいです。。尊敬します。。』という話を会社の先輩としていたら、『お前のやってることも周りから見たらだいぶ地道だよ』と言われ、ハッとした。

ぼくはいまライター、というか、企画もインタビューも編集も写真も全部一人でやっていて、具体的にどの工程が地道なのかは聞き忘れたのだけど、先輩にそんなことを言われてから自分のやっていることを少し客観視していたら『あっ、もしかしたらこれかもな』というのがあった。


ぼくが所属するwevnal(ウェブナル)で書いた最新の記事は、弊社のサービスが展示会に出展した様子をレポートしたものだ。

それでまあ、結論からいうと記事のこのトップ画像1枚を撮るために、15分とシャッター20~30回を費やした。


↓トップ画像拡大


掲載したWantedlyという媒体だと、正確なクリック率が分からないのでなんとも言えないが、SNSでのシェアやいいねしてくれている人たちの反応を見る限り、読み手の興味をそそる写真としてなかなか悪くなかったと思う。

ただ、さっきも言ったように、この1枚の裏には死屍累々となった約20~30枚のボツたちがある。

ボツ例①
周りにノイズとなる情報が多すぎて、中央にいる被写体の頭と背中に全然注目がいかない。


ボツ例②
周囲をシンプルにしたけど、逆にノイズがなさすぎて不自然。イベントに来てる感が出ない。


ということで、盛り上がってるイベントに来てるんだなということが伝わるノイズは含ませつつ、ただ注目は中央にいる被写体に向けようと意識して撮ったのが、本番で使ったさっきの写真。

ちなみに、背中の黒と手元の白も目立つよう、バックが緑になる位置まで動いてもらった。


ぼくはプロのフォトグラファーでもなんでもないので、これらの理論がセオリーとして合ってるのかどうかは全く分からないのだけど、とりあえず大事なのはそこではなくて、どうやったら読む人に興味を持ってもらえる写真になるか、記事や現場の雰囲気を伝える写真になるか、無い知恵を振り絞って考えて、思いついた策を実行することにまずは手間暇を惜しまず全力投球することだ(と言い聞かせている)。


話がだいぶ横道に逸れたけど、写真1枚のためにそんな労力を使うのなんて、客観的に見たときにはそこそこ地道なことなのかもしれないなと、そのときふと思った。

まあ、ぼくは写真自体が好きというより、なんらかの表現を通じて届けたい人に届けたいものを届けるのが好きというほうが、たぶん近いのだけど。

・・・

ということで、今日の話で一番言いたかったのは当初の予定通り、『相手の言ってることよりもやってることに目を向けて、無意識の罠を見破ろう』なんだけど、逆に自分が自分の無意識の罠に引っかかていて、それに気づいたときは、それが自分の好きなものだったり得意なものだったりするかもしれないということだ。

自分で自分のトラップを解くのもいいけど、なかなか難しいから、人に解いてもらうほうがオススメかもね。


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藤本 健太郎 / 編集者
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