「多様な価値観を尊重しよう」っていうけど、オンラインサロンって同じような人ばっかり集まってるよなと思ったので
このnoteは、『採用基準』を読んだ感想の第5回(最終回)です。
本のタイトルからは少し想像しにくいnoteのタイトルが並んでいますが、「採用基準」の本質を突き詰めるとこういったテーマに行き当たります。
これまでの4回分も、ぜひ読んでください!
第1回:「コンサルタント」と「アドバイザー」は別物
第2回:「リーダー」と「リーダーシップ」は別物
第3回:「リーダー」と「マネジャー」は別物
第4回:リーダーに「変化へ対応する力」はいらない
「多様な価値観をもつチーム」は本当に強いのか?
今日のテーマは「価値観」です。
どうしてまたそんな単語が出てくるのかというと、これまでの4回分のタイトルを見てもらったら分かる通り、この本では「リーダー」がひとつのキーワードになっています。
その流れで、「チーム」の話にも言及されてるんですが、そのなかでこんな言葉がありました。
強いチームとは、多様な価値観をもつ人が集まったチームです。
本中では、このあとにそういう多様な価値観をもつチームでリーダーはどう振る舞うべきか?という流れになるのですが、ぼくはその主題の手前で引っかかってしまいました。
「多様な価値観をもつ」という響きだけを聞けば、道徳的になんの疑いもない言葉なんですが、ぼくが最近「多様な価値観って、実は敬遠されているのでは!?」と考えることがあったので、つい目が止まりました。
「多様な価値観」って、本当に必要なんでしょうか?というか、みんな本当にそれを求めているんでしょうか?
なんてことをふと思って、少し前にこんなツイートをしました。
最近、オンラインサロンが流行ってますよね。
あれの最大のメリットって、「クソリプ」が飛んでこないことだと思います。
前提知識をあらかじめ共有しているので、とてもコミュニケーションがスムーズです。
でもこれって、一見「多様な価値観」とは真逆ですよね。
そして、オンラインサロンという形態は、今後もっと普及していくと思います。
普及していくのは、ある程度の有用性があるからです。
つまり、生産性の高いチームは、実は「多様な価値観をもった人たち」ではなく「共通の価値観をもった人たち」によって構成されているのではないでしょうか。
という仮説をもったわけです。
こんな仮説、ぼくの前に何億人と思いついたはず
でも、ぼくが思いついたこんな仮説、この本の著者である伊賀 泰代(いが やすよ)さんは、とっくに考察済みのはずです。
つまり、このオンラインサロンが流行る背景も理解したうえで、それでもあえて「多様な価値観のチームが強い」と言っているということです。
どういう意図で、伊賀さんはこの主張を持ち出したのかなーと考えていたら、1年前に読んだとあるnoteを思い出しました。
最所さんが書いた『相性を決めるのは「WHY」ではなく「HOW」』というnoteです。
このnoteの冒頭にも書かれている通り、就職の面接ではほぼ確実に「なんで弊社を志望したんですか?」「そう思った理由はなんですか?」といった質問があります。
つまり、「WHY」を問う質問ですね。
そして、上記のnoteのなかでは、人の相性を見極めるときには「WHY(=なんで弊社で働きたいのか)」が合致しているよりも、「HOW(=どうやってその仕事を進めるのか)」が合致しているほうが、中長期的な関係を築きやすいと書かれています。
「WHY」は、そのひとの成長度合いや人生のフェーズによって、変わってくるからです。
一方で「HOW」、つまり「どういう仕事の取り組み方をするか」「とある課題に直面したとき、どういうアプローチをとるか」の部分は、時間を経ても変わりずらいです。
(※これはnoteを読んだぼくの”解釈”で、最所さんそのままの見解ではないです!ぼくが誤解してる部分もあるかもしれません!)
「価値観」を分解してみる
この最所さんのnoteの内容を踏まえたうえで、オンラインサロンの話にもどりましょう。
先ほど、オンラサロンは前提知識を共有しているからコミュニケーションがスムーズでいいんだという話をしましたが、これは本当に「価値観の多様性が”ない”チーム」なのでしょうか。
答えは「NO」です。
(ある程度の人数を抱えている)オンラインサロンは、「多様な価値観をもったチーム」です。
「前提知識を共有していること」と「価値観が同一であること」は、半分一緒で半分違います。
この議論を整理するために必要なのは、「価値観の分解」です。
つまり、価値観を「HOW」と「WHY」で分けるのです。
こうすれば、本のなかで伊賀さんが言っていた「多様な価値観をもつチームは強い」という話と、昨今のオンラサロンの盛り上がっている話の、つじつまが合ってきます。
結論からいうと、「HOWの価値観は同一で、WHYの価値観が多様なチーム」は強いです。
ぼくの仮説では、伊賀さんが言っていた多様な価値観の「価値観」は、「WHYの価値観」だったのだと思います。
外資系もオンラインサロンも、生産性の高いチームの構造は同じ
HOWやWHYというのを、もう少し具体的に見ていきます。
ぼくは先月から、キンコン西野さんのオンラインサロンに入っています。
その様子を見ていると、そこでの「HOWの価値観が同じ」(=どうやってプロジェクトを進めるのか)というのは、「西野さんからの提案に対し、たくさんのコメントがつく(=みんなが積極的に発言する)」であったり、「サロン内に毎日どんどん新しい部活ができる(=じぶんからなにかをやっていく)」ということです。
ただ、西野さんからの提案に対し、別に毎回賛成というわけでもなくて、ときには反対意見や改善案なんかも出ます。
それは、西野さんのサロンには、大企業の社長からクリエイター、専業主婦のママさんなど、本当に多種多彩な役割のひとがいるからです。
じぶんのふだん見えている景色が違うので、当然「WHYの価値観」(=なぜそう思うのか)も違ってきます。
IT系の企業で働くひとにとっては馴染み深い横文字でも(ソリューションとか)、地方の農家の方にとっては、ちんぷんかんぷんな場合だってあるわけです。
そんなとき、西野さんが本の原稿をサロンのみんなに見せると、地方農家の方から「この言葉の意味がわからない」なんて意見が出ます。
そうなると、西野さんはもっと噛み砕いた言葉に直して、たくさんのひとに届く本へとまた一歩近づけます。
このプロセスは、まさに「多様な価値観」そのものです。
だから逆に、著者の伊賀さんがいた外資系企業だって、一見たくさんの国籍のひとがいて「多様性に満ち溢れたチーム感」がありますが、「HOWの価値観」は全員共通しているはずです。
それは、これまでの4回分で書いてきた「全員がリーダーシップを持って仕事に取り組む」ことであったり、「”あなたの意見”を常に求められる」ことなどです。
逆に、この「HOWの価値観」は共通でないと、仕事が遅々として進まず、生産性がとても低くなってしまいます。
伊賀さんの言っていた「強いチームとは、多様な価値観をもつ人が集まったチームです」という話を、もう少し噛み砕いてみます。
つまり、ぼくなりにまとめると「強いチームとは、同一なHOWの価値観をもち、多様なWHYの価値観をもつ人が集まったチーム」のことです。
みなさんがなにかしらのチームを結成するときは、価値観を「HOW」と「WHY」それぞれに分解することを意識してみると、より強いチームが作れるかもしれません。
▼2012年に書かれた本ですが、こうやって2018年の暮れの話にも対応できる、とっても普遍性の高い話が詰まってます!
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