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「仮面YouTuber」の強み

『無一文からのドリーム』という本を読みました。


著者は、ラファエルさん。

メインチャンネルの登録者数は約150万人に迫る人気YouTuberで、特徴は仮面を被っていることです。


本中では題名の通り、幼少期からの自身を振り返って、どのようにして『YouTuber・ラファエル』が誕生したのかを、詳細に綴っっています。


きょうは、その外見の特徴でもある『仮面』について触れていこうと思うんですが、当初、ラファエルさんが仮面を被っていたのは、顔バレを防ぐためでした。

YouTube配信を始めた当時は、会社員との兼業だったので。


しかし、その後YouTubeからの広告収入が安定してきたタイミングで、ラファエルさんは会社を退職して、YouTube一本に絞ります。

副業がバレるのを防ぐためだけであれば、このタイミングで仮面を取っても良かったはずです。


実際のところ、YouTuberとして人気になるのは『親近感』がひとつのキーワードになるので、そういう意味では仮面は足かせなのです。

にもかかわらず、ラファエルさんは現在も仮面をつけたままYouTubeに登場しています。


理由は動画や本などでいくつか挙げていますが、まず1つは『自由に生きたいから』です。

いま登録者が100万人以上のYouTuberが、渋谷や原宿を歩けば、すぐに若者が集まります。

『親近感』が一つの特徴なので、みんなめっちゃ話しかけます。

プライバシーなんて、あったものじゃありません。

だからラファエルさんは、いまも仮面をしているのです。


もう1つ大きな理由は、『演者の見た目の制限にとらわれない』こと。

こっちが、YouTuberのなかでは、わりと先進的な取り組みかなと思っています。


まず、仮面なので、永遠に見た目が変わりません。

これ、10年後20年後にけっこう効いてくるかなと思っていて、いま人気のYouTuberって、大半が『カッコいい』か『かわいい』んですよね。

『若さを強みとして生かしている』と言い換えてもいいかもしれません。

ただ、容姿を強みにしてしまうと、これから10年20年先になったときに、ファンが次の若いYouTuberのほうへ流れてしまう可能性もあります。

一方で、ラファエルさんは最初から外見ではなくて、仮面というキャラクターはもちろん、その企画力や話術などで視聴者を引きつけているので、比較的寿命が長いと言えます。


そして、もっと言えれば、ラファエルさんはラファエルという『人物』を売っているのではなく、ラファエルという『キャラクター』を売っているので、別に中の人はいまのラファエルさんじゃなくてもいいわけです。

実際、先日の動画で、2代目の募集をしていました。


>【YouTube引退します】二代目ラファエルオーディション【ラファエル】


この展開を、Youtubeを始めた段階から見越していたのは、すごい先見の明だなと思います。

本中でも、仮面のメリットについて、以下のように述べています。

何よりいいのは、キャラクターとして存在を確率するため、永遠に都市を取らない点だ。顔出しのYouTuberは、もし死んでしまったら一年も経てば昔の記憶から消滅する。だけれど、白マスクにグレーのフードで現れるキャラなら何十年後でも実物として存在して生き長らえる。ミッキーマウスと同じだ。中身となる人を誰かに引き継げば、ラファエルはは百年後も存在する、と僕は考えている。


上の本虫にも書いてあるように、ミッキーマウスやあとはタイガーマスクなど、姿を隠すことによって、キャラとして生存させて、何世代にもわたって活動するという手法は、別の業界では特に珍しいことではありません。

しかし、それをYouTube上で成立させつつあるのは、ラファエルさんが初めてではないでしょうか。

きょう何回か書いているように、YouTubeは『親近感』が命です。

仮面を被っていて顔が見えないのは、そういう点において致命傷です。


しかし、そこで目先の利益に走らずに、中長期的な運用を見据えて、最初からの仮面を貫き通しているラファエルさんは、なかなかの戦略家だなと思います。


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藤本 健太郎 / 編集者
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