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マジックアワー
元々は映画用語として使われていたマジックアワー。
日の出前もしくは日没後の僅かな時間帯に存在する独特の色合いを持つ時間の事を指し、その独特な色合いからその時間帯を狙って撮る事がある。
だが、マジックアワーを利用した撮影は、フィルム時代にはフィルムの選び方からして難しいものだった。
ある特定の時間だけコバルトブルーの様な発色を見せるフィルムとか、あまりに素っ気ない色しか出さないフィルムとかがあって、今思えば、その手の技術的なノウハウがカメラマンにとっての能力の一部として認められていたようにも思う。
ビデオカメラはフィルムと違って色温度を調整できる事からマジックアワーを使った撮影の場合には色合いの面白さ位にしか魅力を感じなかったが、それでも空の青く染まる色合いは魅力的で、風景を狙う場合には時間を調整する事があった事を思い出す。
デジカメでの撮影はビデオカメラでの撮影に近く(色温度が調整可能)、撮影時にRawデータで記録しておけば後で色温度の調整が簡単にできる上に、フィルムトーンをシミュレートしてくれるソフトを使えばPC上で実験ができてしまうので、フィルムで培った技術は何の価値もないとも言えるのだが、Rawデータで記録する場合でもちゃんと三色分解をした際にそれぞれがちゃんと使えるレベルで記録されていないと性能が発揮できないから、敢えてホワイトバランスは自動にして撮像板の能力をメーカーが考える理想値に近づける形で記録するのが良いのだろうと思っている。
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Sigma 24-70mm F2.8 DG OS HSM Art
ISO500 f/4.5
56mm 1/25s
-1EV
よく言われているマジックアワーの写真は、こんな色合いの物だろう。
ゴールデンアワーとも言われて幻想的な写真になるが、見た目とあまり変わらないため、どこがマジックなの?と言われそうでもある。
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RF24-105mm F4L IS USM
ISO640 f/7.1
24mm 1/100s
-0.3EV
私自身はこんな色合いの空の方が好きで、見た目ではここまで見えていないのに想像以上に青い空が写ったりするブルーアワーとも言われるマジックアワーの写真になる。
夕日の赤がビルに反射するタイミングで撮影したのだが、構図を決める際は雲の位置を見て決めたのは言うまでない。
2枚とも現像はDX0 PhotoLabでLeicaMのトーンをシミュレートして、リサイズと調整はPhotoshopCCとNIK CollectionのCollarEfexProを使って行った。
35ミリフルサイズカメラに24ミリレンズをつけて撮れば誰でも撮れるカットだが、その日その時の色合いや雲などの形や位置が物を言う風景は私にとっては魅力的だ。
それでもマジックアワーでなければ出にくいこの色合いはフィルム時代に得た経験が教えてくれるので、不自由な撮影環境における経験も捨てたものではないって事かもしれない。
問題は、そんなタイミングが突然やってくる事と、必ずしもカメラを持っているとは限らないこと。
だからなるべくいつもカメラを持って歩くのだけど、デジタル一眼レフカメラって持ってるだけで目立つので、変な誤解を受けそうで恐かったりもする。
まぁ、最後は開き直るしかないのですけどね。