あのときの匂い
ふとしたときに、「あー、この匂い」と思うときがある。
そして、それは同じ匂いがしたときの過去へとつながる。
雨上がりの匂い。鼻からすうっーと深く吸いこんで、自分の隅々まで行きわたらせたくなるような匂い。
高校の文化祭準備で夏休み中も高校に作業しにいっていた夏。
突然の夕立で、雨に濡れながら小走りでごみ捨てに行った。
自分が好きだった他のクラスの女の子も同じような状況で、一瞬目線が合った。
それまで接点がなかったのに、何となく同じ気持ちなのかなーと思えたその瞬間を思い出す。
他にも。
雲一つないきれいな真夜中の匂い。
朝方まで作業が続いたときに気分転換で窓を開けて入ってくる、ひんやりとした空気の匂い。
普段せわしなく生きていて、過去を振り返るときなんかないけど、それでも。
それでも、こういう匂いを感じると一瞬で過去のあのときに戻れるっていうのは、一度立ち止まって気持ちを落ち着けることができていいよね。
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