【2019年度版】PR会社・サービスのカオスマップを作ってみた
はじめまして。シラハタです。
広告業界のエコシステムを爆変するためのプラットフォームの開発を行っています。
サービス開発していく中で広告業界の各所の縮図が見えてきたので、色々所感をまとめていきます。
アドテク!とか◯◯業界のSaaS!とかのカオスマップは結構あるんですが、今回は敢えてトラディショナルな市場にスポットを当ててみます。
広告全体でのPR市場規模は約1.2%
PR業界は、日本国内の市場規模だと1,016億円と言われています。
また、経産省の調査から計算すると、広告業界全体での市場規模は約1.2%、SP・PR・催事企画すべて合わせても、7千億円程度の規模なので、広告全体で見るとそこまで大きくはない市場といえるでしょう。
2018年までの数字を見ると、リーマンショックが起こった2008年の市場規模までにはまだ復活していないことがわかります。
細分化が進むPR業界
そもそも、PRは業務内容が多岐に渡って曖昧な部分が多くてイメージがつかきにくいんです。
ざっくり言うと、「TVなどのメディアとの接触を図り、第三者を介した情報発信」などを行い、「自社サービス・プロダクト・会社そのものブランディング・認知の向上」を狙うことが目的です。
しかし、昨今消費者チャネルの複雑化が進み、提供サービスの細分化が激しく進んでおり、依頼する側としてはどの会社にどんなことをお願いしたら良いのか?が非常にわかりにくくなっていると思われます。
①複雑なPR業界の勢力図をマッピングした
そこで、PRエージェンシーとサービス、両方合わせたカオスマップを作ってみました。
主な調査ソース:
PRSJ、WOMJ、Wantedly、Vorkers、各社IR資料など
※エージェンシーは、年商10億、30名以上の所属をしている企業から中心に抽出
※ただし、特定の領域に関するサービスや事例を特化して発信している企業、及びサービスについてはその限りではない
※エージェンシーとサービス運用会社が重複する場合も、別々で記載
※あくまで私自身の自主調査です
いくつか気になったポイントを書きます。
PRエージェンシー:ベクトルグループの規模が大きい
連結で売上300億円、かつPR関連事業に絞ってざっくり計算すると170億円くらいなのいで、市場の17%はカバーしているということになりますね。
次にサニーサイドアップで135億円(13.5%)、電通PRで105億円(10.5%)、プラップジャパンで68億円(6.8%)、共同PRで53億円(5.3%)ざっくりとこんな感じになります。
ワイヤーサービス(プレスリリース配信プラットフォーム)のプレイヤーがそこまで多くない
もっと有象無象にあるものかと思いましたが、主要プレイヤーは9個に収まりました。PR TIMES、@pressメインなのですが、意外にも各社売上20〜30億円くらいなんですね。利用者のパイを取り尽くしてしまったということなのでしょうか。
個人的にPRTIMES大好きなので、応援していきたいです。
ソーシャルヒアリングサービスの一般化
今で言うAI、ビッグデータみたいな感じで5年前くらいは猫も杓子も「ソーシャル」の時代でしたらが一旦落ち着いた気がします。
これらは良い意味で、鎮静化、地に足が着いて実用化が進んでいると私は見ています。
報道効果測定"だけ"じゃ顧客ニーズは満たされない
PR効果計測ツールとして、ビルコム社のPR Analyzerが登場した際、業界が結構ザワツキました。恐らく今も顕著にユーザーを増やし続けているとは思うのですが、私の見解としてこの手のツールは日本国内ではあまり普及しないと予想しています。上のソーシャルヒアリングにも言えることですが、恐らくクライアント側、そしてエージェンシーの多数が使い方をきちんと理解していないと思うからです。
これについてはまた別で書こうと思います。
②各PRエージェンシーがどこに強いのかをポジショニング分け
クライアントさんもPRエージェンシーっていっぱいあってひと目見ただけじゃわかりにくいですよね。
そこで、HP上のメニューや実績、各社の自社発信情報から下記2軸でポジショニングしてみました。
「toB or toC」・「マーケティング or ブランディング・コーポレートコミュニケーション」
主な調査ソース:
各社HPメニュー/事例から抽出
※売上規模や社員数は差っ引いて分析
※あくまで自主調査です
傾向をまとめると、
「toC向けマーケティングPRを謳っている会社が多い。」
「toB向けブランディング機能を打ち出しているエージェンシーが多い。」
「toB向けマーケティングPR機能を打ち出しているエージェンシーは少ない。」
こんな感じでした。
そもそもPR会社の納品物自体が曖昧なので各社訴求が難しいところはあるんですが、なんでも出来ます!っていう感じになっている傾向が色濃く出ていますね。
その中でも、ベンチャー広報さん、シプードさん、Enjinさんは独自の色とその実績が強く出ていて個人的に良いなと思いました。サービス内容に強い差別性(やらないこと)や戦略性を感じました。
総括:PRエージェンシーの手法やビジネスモデルのコモディティ化が半端ない
PRTIMESなどワイヤーサービスがプレスリリースの文化を変え、PR Analyzerなどの効果計測ツールが広告換算値崇拝と違った新たな手法を提唱し、PRTableなどの振興サービスが情報の新しい提供法を提案していることで、「PRといえばコレ!」っていう概念そのものが変わる宿しは見えていると思います。
一方、あまり変化が見られないのがエージェンシー側。
今回の調査で100社以上のHPやサービスサイトが拝見しましたが、「デジタル」「イベント」「マーケティングPR」など、ほとんどの会社のメニュー・実績に羅列されるワードが酷似しており、極端に差別化された会社はないと感じました。
最終的にクライアント側が、各企業の強みに気づかず、会社規模や提案金額の安さで判断してしまうのも無理はないと思います。
私もこの畑で食べているので自戒の意味も込めて。色々仕込んでいるので、この領域については面白いものが将来見せれると思います。
手法としての限界なのか?はたまた常識を覆すPRの提供プレイヤーが爆誕するのか?
また新たな気づきがあれば、PR業界について書いてみようと思います!
5/7追記:効果測定ツールに「meltwater」を追加しました。他にもこんなイケてるサービス、エージェンシーが漏れてるよ!という部分があればメッセージ下さいませ!
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