Branding Book Summary.#007
Branding Book Summary.
by Ken Kona
実績豊富で机上の空論ゼロのブランド戦略家が
片っ端からブランディング本を読んでみた。
#007
『小さな会社のはじめてのブランドの教科書』
(高橋克典著 / ダイヤモンド社)
これ一冊でぜんぶわかる!、
というサブタイトル。
同じブランド戦略の専門家としては、
「はじめて」読むブランド戦略の入門書
としてはオススメしません。
2冊目か3冊目に読むべき本だと思う。
基礎的な本を1〜2冊読んでからの方が、
色々グッと入ってくると思います。
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まず、読みどころはココ!
ポイントは2つ、
1)著者の言い回しが秀逸
例えばまえがきから…
書店で販売されているマーケティング本の多くは
大企業の成功例や理論ばかり。
しかもこれらのマーケティング手法はアメリカで
考案され、アメリカで発達したものなので、どこか
ハンバーガーの匂いがします。
「ハンバーガーの匂い」で、
僕はこの本は読む価値がありそうだぞ!
…と感じました(笑)
この著者は外資系5社のトップを歴任し、
世界の一流ブランドの経営やマーケティングに
関わってきた経歴があるので国際感覚とユーモア
があります。
2)経営観点でのブランディング
全体を通じて頻出するのが…
・ブランドとは粗利をアップする戦略
・カスタマー・エクイティーを高めるのがブランディング
・営業活動を不要とさせる行為
・ブランド戦略の最骨頂は「パープルオーシャン戦略」
・製品数と顧客を絞り込むことがブランディングの極意
・販管費を増やさず、利益率を高め、売上をむやみに
増やさなくても、最終利益をアップできる
…という感じで、非常に経営的視点で
ブランディングを説いているところがいいです。
デザイン視点のなんちゃってブランディングが
世の中に蔓延っているので、とてもいい本です。
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それ以外の読みどころ!
(気になったところを列挙)
・ところで英語のストラテジーは「戦略」と
和訳されていますが、秀逸です。
戦いを略する=戦わずして利を得る。
なんとも日本的な発想ではありませんか。
>「戦いに勝つための作戦」を戦略だと思い込んでいる人も
多いですが、本当はその真逆で「戦わないための作戦」であること。
これは僕の前職時でもクローズアップしていたので非常に共感します。
・まずは粗利がアップします。
原価が同じで、単純に今までより高く商品や
サービスを売ることができるようになるわけですから、
粗利がアップするのは道理です。
>「価格以上の価値」を生み出して値下げ競争には参加せず、
逆に少し高いくらいで売っていくことがブランド戦略。これも基本です。
・ブランドは、その会社がどんな会社で、どの方向に
進もうとしていて、どんな目的の下に事業を行い、
どんなヴィジョンがあるのか?の輪郭をはっきりとさせます。
>この輪郭が見えるか見えないかで、採用も定着もかなり
大きく変わってきます。ブランディングは採用や人事にものすごく
影響を及ぼすのは、今まで多くの会社で実感してきました。
・ブランディングの真骨頂が「差別化」ですから、
最も強力な「パープルオーシャン戦略」はブランディング
とも言えるでしょう。
>本当の意味で差別化できる会社は少ないと感じるので、
本当の意味の差別化を実現できた会社は本当に強いです。
・誰にでも売れる商品やサービスは、誰にも売れません。
製品数と顧客を絞り込むことは、ブランディングの極意と
言っても過言ではありません。
中小企業では、売りたい顧客を絞り込み、それに相応しい
少品種で勝負することが、成功への道です。
>絞り込みの法則は「虫眼鏡の法則」などと呼ばれることも
ありますが、絞り込める勇気を持てるかどうかが経営者に試されます。
・中小企業は大企業に比べて間接部門が小さいので、
社員が同じ方向で仕事をし始めると、営業利益に即反応
する、という特性を持っています。
>このスケールメリットだけが中小企業の優位性なので、
ここを理解している会社は本当に「変わる」のが早いです。
・誤解を恐れずに言えば、お客さんをランク分けして、
一種の差別をすることが必要です。ブランディングが
差別化だとすれば、売り手がお客さんを差別することを
恐れてはいけません。
>お客さんに選んでもらう、ではなく「お客さんを選ぶ」と言う状態。
一見、日本では馴染みがないように感じるかもしれませんが、
高級旅館・高級料亭などが一見さんお断りなもの、
紹介がないと入れないところなども、「お客さんを選ぶ」ブランドは
昔から沢山存在します。
・販管費を増やさず、ブランディングによって利益率が
上がれば、たとえ売上げが同じでも、最終利益はアップする。
これがゼロ成長経済下における中小企業にオススメする
マネジメントです。
>僕の元ボスの本で『営業部は今日で解散します。』というのが
ありますが、まさにこのこと。
・言うまでもないことですが、歴史ある会社だったら、
堂々と歴史を語るべきですが、歴史がなくても、
これからつくる歴史について経営者は語るべきなのです。
それがブランディングだからです。
>よく「ストーリーを語れ」と言いますが、会社のストーリーは
未来を語ることですね。
明日まるっと世界が変わってしまうかもしれない時代には、
過去を語ることよりも、未来の話に人は惹きつけられる。
・聖書には「言葉は神とともにあった。万物は言葉に
よってなった」と記されています。
>呼び方で、そのものや、その人の価値も行動も変わって
しまうほどのチカラがあるのでここは軽んじない方がいいですね。
・カスタマーファーストは商いとして間違っていませんが、
小さな会社にとっては「自分たちが中心」が、正しい
ブランディングだと信じて疑いません。
>僕も完全にそう思います。
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