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大学発のイノベーションを促進するWellspringの出発点

はじめに

Wellspringの足立と申します。今回が初のnoteということで、緊張しつつですが、何かしら自分達のやっていることを少しでも発信できればということで書いていこうと思います。
私は2021年にWellspringにジョインし、現在で3年強サービスのグロースに携わってきました。日本支部立ち上げ当初はお客様はほぼ存在しなかったのですが、現在では中小企業はもちろんのこと、日本トップクラスの国立大学・製薬企業・自動車メーカーなど大手エンタープライズを多数お客様に抱えられるほどに基盤が整ってきました。米国発のサービスということで、日本のお客様に今までにない価値を提供し、お客様が積極的にご活用いただけるお陰というところです。

Wellspringとは

Wellspringは2003年、カーネギーメロン大学の教授が設立した企業です。背景には、「知財管理や技術移転を一貫してサポートするシステムがない」という課題感があり、当時珍しかった大学発ベンチャーとして産声を上げました。現在では米国トップ100大学のうち94大学がWellspringのソリューションを活用しており、さらに世界600社以上のエンタープライズ企業でも採用されています。

アメリカはイノベーション先進国として知られ、特にアカデミアがその中心的な役割を果たしています。バイオや工学分野など、大学発の技術が技術革新を支える柱となっており、例えばCOVID-19ワクチンの開発では、ペンシルベニア大学の研究成果や政府からの資金が重要な役割を果たしました。これにより、数年かかるはずだった開発期間が大幅に短縮されたと言われています。

イノベーションを生み出すには、政府・企業・大学の連携(トリプルヘリックス)のエコシステムを円滑に機能させることが不可欠です。Wellspringは、この連携を次世代型のものへと進化させることを目指し、企業と大学の双方に向けたソフトウェアを提供しています。

詳細なサービス提供内容はこちらを参照してください

トリプルヘックスの関係図(弊社作成)

イノベーションとは何か?

イノベーションの定義は様々ありますが、「技術起点で新たな価値を創造する」と定義しようと思います。
日本においては、コーポレートイノベーション・オープンイノベーションという言葉が先行していますが、実態というか肌感覚としてスタートアップ企業と大企業の価値の交換を促す言葉となってきています。必ずしも技術革新を伴わないことも多いため、今回の定義に沿ったイノベーションとは意味合いが違う場合も多いのが実情です。
一方、大学発のスタートアップにおいては、上記の限りではありません。新しい研究成果を社会実装することがミッションになっているため、イノベーション駆動型の価値創造になります。

経産省の統計によると、大学発ベンチャーの時価総額合計は1.1兆円に上り特にデジタルトランフォーメーションやカーボンニュートラルの分野をリードしていく存在です。日本では年間200社程度のアカデミアスタートアップが生まれますが、米国ではその数は1000社に上ります。流れは加速しています。

このように、企業での新しい価値の創造が手詰まりになる中、アカデミア発のスタートアップの存在感は日増しに高まっていると言えます。現に政府の側もこの流れが加速することを促し、期待しているものと考えます。

https://www8.cao.go.jp/cstp/tyousakai/innovation_ecosystem/2kai/siryo5.pdf

なぜWellspringは日本に進出したか

話はスタートアップから知財に移ります。

実は日本の大学の知財出願件数自体は米国と比して劣るというわけではありません。もちろん米国の方が多いですが、出願数は1/2程度となります。(2018年度)   人口規模や国立大学の数で考えると健闘していると言えるのではないでしょうか。

一方でライセンス収入ベースでいくと米国は日本の53倍になります。

シンプルに言えば知的な活動の結果が評価されていない・売り込めていないということになります。これは国際的な知財出願(PCT)が比率として少なかったり、単独出願比率が少ないなどさまざまな理由があります。ただ、いずれにせよ伸び代がある状態になります。
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/tyousakai/daigaku_gov/dai1/siryou5.pdf

なぜこのような差が生まれるのかというと、1つには知財マネジメントの効率が悪く・研究成果を社会実装にどのように結びつけるかまで推進できる人材が少ないことが原因と言われます。また、同様の理由で海外向けの情報発信を推進することができていないことも挙げられます。

知財のうちでライセンス可能なものはどれくらいあるのか、マーケティングにどう生かしていくか、もしくは研究成果の中で海外に評価される可能性のある技術は何か・・・このような情報を整理し、組織の中で意思決定ができる状態を作れれば、イノベーション活動の改善はより前進するでしょう。

私たちWellspringが日本に進出したのも、上記のような背景をもとにしています。日本の産学連携に携わる方は素晴らしい方が多く、その取り組みは日本の技術移転の礎になっていますが、そこにあるシステムや仕組みという意味では米国の統制だったやり方を取り入れる余地があると考えています。

スタートアップや知財も大学の知的活動の1つの成果として、今後もっと伸びていく余地があると考えていますし、スタートアップ創出活動の基盤を提供する意味においてWellspringが果たすことが出来る役割はまだまだ多いものと考えています。

最後に

Wellspringでは仲間やビジネスパートナーを募集しております。今後ますます注目されるオープンイノベーションの領域に一石を投じるべく、ご興味ありましたら是非ご連絡ください。



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