「男は黙って」と「女三人集まれば姦しい」の向こう側
男性をトップに立たせる階層構造を持った社会―今の世の中だよ!―において階層上昇を阻まれたもの―女性だよ!―の戦略は水平的連帯であるが、ネオリベ的現況において上昇階段が極端に少なくなっているので、水平的連帯は生き残るのに実は一般的にも有効な戦略なのかもしれない。
オイラの周りの優秀な女性は商売で問題・儲ける機会を前にして色んな人に相談する。同じ答えをたくさんの人から確認したいという衝動もあるのかもしれないが、それよりよく見ていると聞く相手に微細に違った役割を与えており―方策の批判、応援の声、技術的助言等々―そこから賢く吸収し、とるべき手段を講じる。
「男は黙っての」世界においてはこれは自らを開陳し過ぎ弱みを見せ過ぎなのかもしれない。ただホラを吹かしてもらえば、これは人間が確信・信念―ビジネスチャンスをものにするのは命懸けの飛躍である―を持つための基本的所作ではないのか。
教会という権威構造を拒否するところから始まったプロテスタントの信仰はただ福音を信じることを求める。イエスを語ることにおいて全ての福音書は同じだが四書には微細だが豊かな差―マタイ伝は"プレゼン"、ルカ伝は客観的描記述、ヨハネ伝はイエスの人間的弱さの描写等々―が説得力を増し、信仰を確信させる。
階層構造集団においてはこのような多様性はいらない。真理の伝達はA→Bという単純な因果律の形を採っても堅牢なヒエラルキーによる上意下達が信念・確信を保証する。
話を戻そう。真理の伝達と構成員の確信が階層構造によって保証されていれば、「男は黙って」いられる。しかし、そこにおいて上昇阻害されているものは自らの言葉・行いを確信するにはおしゃべりにならなければならない。つまり女三人集まれば姦しい、と。これは水平的連帯により真理を伝達・確認しているのだ。
もうそろそろ終わりにしよう。国民総動員が必要だった重工業資本主義が遠い過去のものとなり、国家に寄生するネオリベ―ああ言っちゃったよ、国立サラリーマン養成学校出身者が―が蔓延する現在において男も黙っていられないのだ。万国の男ども姦しくなれ!
追記:このお話は昨今かまびすしく叫ばれているevidenceには全くbasedされていないと言ってもよく、「オイラの周りの優秀な女性」はn=1の可能性大、と指摘しておこう。