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目指せプロ棋士 西山朋佳三段の挑戦
昨年の将棋界は藤井聡太二冠の話題でもちきりでしたが、
もう一方で、「女性初のプロ棋士誕生なるか?」という話題にも注目されました。それは、関東奨励会所属の西山朋佳三段です。
将棋界では、奨励会を卒業し四段に昇段すると「棋士」としてプロデビューでき、西山朋佳三段はその一歩手前まで来ています。
2019年10月~2020年3月まで行われた第66回奨励会三段リーグで、あと一歩の次点を獲得しました。
そんな西山朋佳三段の強さをご紹介します。
西山朋佳三段の女流棋士との対戦成績が下記です。
ただし、西山朋佳三段は女流棋士ではなく、奨励会所属の三段ですので、普段から女流棋士との対局はなく、7つあるタイトル戦のうち、奨励会三段でも出場可能なタイトル戦での成績になります。西山朋佳三段とは別に西山朋佳女流三冠という肩書があるのはこのためです。
ですので、対局数は少ないですが、その勝率は女流棋士の2019年度勝率ランキングでもトップで、2019年度だけでなく、2015年以降は7割以上の勝率をキープしています(2020年度は2021年3月まで)。
しかも、7つあるタイトル戦(※8つめのタイトル戦が創設)で奨励会所属でも出場可能なのは3つで、その3つのタイトルすべてを保持しており、その予選を勝ち抜いた挑戦者との対戦成績なので、なおさらその強さぶりがうかがえます。
ちなみにそのタイトル戦のみの成績ですが、タイトル戦を8回戦って7回獲得していて、その対戦成績は19勝12敗(下記)となっています。素晴らしい成績です。
女王(マイナビ女子オープン)
2018年 西山朋佳 3-1 加藤桃子
2019年 西山朋佳 3-1 里見香奈
2020年 西山朋佳 3-2 加藤桃子
女流王座
2014年 西山朋佳 0-3 加藤桃子
2019年 西山朋佳 3-1 里見香奈
2020年 西山朋佳 3-2 里見里奈
女流王将
2019年 西山朋佳 2-1 里見香奈
2020年 西山朋佳 2-1 室谷由紀
次にプロ棋士との対戦を見ていきましょう。
プロ棋士、つまり四段以上ですから、すべての対戦が格上となりますが、直近2年間(2020年度は進行中)は6割以上の成績を収めています。勝つのも難しい中でのこの成績は秀逸といえるでしょう。
なかでも、棋聖戦の1次予選決勝では、棋戦で女性で初めて1次予選を突破しました。
棋戦でも互角、あるいは互角以上に戦えていることが分かります。
そういった実績をひきさげ、前述のように西山朋佳三段は女性で初の棋士になれるかどうかに注目されているといえます。
棋士になるため奨励会の三段リーグを勝ち抜かなければなりません。
三段リーグは30人以上の奨励会三段が18戦対局して、上位2位以内に入らなければなりません。年間2回行われますので、年間4人しかプロ棋士になれない大変狭き門です。別に、次点制度があり、三段リーグ3位や新人王戦での優勝で次点を獲得すると、次点2回でプロ棋士になれます。
西山朋佳三段は2015年12月、女性として2人目、最年少の20歳5か月で三段に昇段し、2016年4月から三段リーグに参加しています。
その初参加となったリーグの同期には藤井聡太二冠がおり、藤井聡太二冠は最終局に勝利して1期抜けでプロ入りを決めましたが、その最終局の相手が西山朋佳三段でした。その後の藤井聡太二冠の将棋界の席巻ぶりは周知のことですが、西山朋佳三段もこのリーグで女性初の勝ち越しを決めていました。
これまでの西山朋佳三段の三段リーグでの成績は下の通りです。
2019年10月~2020年3月の第66回三段リーグでは14勝4敗で次点の成績を挙げたことのある唯一の女性となりました。
現在は68回三段リーグ戦を戦っており、10戦を終えて、7勝3敗の7位につけています。前回の67回の後半、少し不調でしたが、公式棋戦を含めて調子を上げてきており、四段昇段の可能性は十分にあると思います。
その条件は、
①残り8戦を7勝以上し、14勝4敗以上で2位以内で堂々と昇段
②残り8戦を6勝以上し、何とか次点を獲得し昇段
③新人王戦で優勝し、次点を獲得し昇段
もちろん、他の三段者の成績次第ですので、①②は確定的ではありませんが。
反対に西山朋佳三段は現在25歳で、26歳の誕生月を含む三段リーグ戦で昇段できなければ退会になってしまいます。ただし、三段リーグで勝ち越しを続ければ、29歳まで延長することが可能です。
そんなことはさておき、過去に、14勝4敗以上の成績を挙げたことがある奨励会員が四段に昇段できなかった例は皆無でもあるので、そのデータからも大いに期待できると思います。
歴史を作ることに果敢にチャレンジをされている西山朋佳三段に今後も注目してみたいと思います。