「人が描けない」から抜け出した後の1年半
こんにちは!
今回の記事は以前書いたこちらの記事のつづきを書こうと思います。
↑の記事を読んでからの方が今回の記事は楽しめる気がしますが、時間無い人もいると思うので前回の記事の内容をざっくり書くと、、、
人を描くのが苦手でずっと向き合えなかった
克服するために一年間とにかく街中でスケッチしてみた
そしたら絵が↓のように変化し、苦手意識がなくなった
「人体を正確に描かなきゃ」→「その人らしさを描きたい」と価値観が変わった
という内容をたくさんの作例とともにまとめたものです。
1年頑張ってみて苦手意識が無くなったのは良かったのですが、その後は順調に進んでるのかというとそうでもなくて、、。
また別の問題が出てきたりして今でも試行錯誤は続いています。
問題というのは絵の描き方や見方の話でもあるのですが、それ以上に「飽き」や「目標」のようなものとの付き合い方。
「飽きる」ってどういう状態なのか。なぜそうなるのか。「目標」があるとどうなるのか。続けているからこそ出てくる悩みですが、この1年半で少しうまく付き合えるようになったと思います。
もしかしたら、同じ悩みを持つ方もいるのでは?と思い今回記事を書いています。
ということで、ここから先は以前の1年間チャレンジのあとの1年半を50枚ほどのスケッチと共に時系列で振り返っていきます!
飽きたのでやり方変える期
2023年1月~
いつも年明けすぐスケッチをするんですが2023年は全く気分が乗らず描く気がおきない、、、という何ともグダグダなスタートを切ります。笑
スケッチを続けて自分のことはよくわかってきたので、原因はすぐピンときました。
「あっ、俺飽きてるな!」と。笑
そりゃ飽きることも今まであったので、わりと慣れています。飽きたらやることは決まっていて、画材変更です!画材を変えると新鮮な気持ちで描けるということは今までの経験から知っていたので、思い切って筆と紙とiPadを封印してみました。
ではどうやって描いていたのかというと「iPhone+指」です!
学生時代に同級生がやっているのを見たので、自分もいけるんじゃないかと思って始めてみましたが、、、、
全然描けない!
電車で帰宅中に描いていたのですが、このよくわからない塊を描いてたら最寄り駅についてました(電車に乗ってた時間は20分くらい)。
描けなさ過ぎて逆に燃えてきたので続けてみます!
まだまだ描けないが、一枚目に比べたらましか、、、?
そしてここから2週目のスケッチ。
などなど、ひたすら描き続け3週目に入り、、
この辺りで描ける量が結構増えて「っぽく」なってきました!コツを掴んだ感があります。
この先は4週目のスケッチ。
iPhone+指スケッチを初めてから4週間後にはこんな感じになりました!
この一か月、通勤中はほぼ毎日描いていた感じです。絵がうまくなったというよりツールに慣れたという感じですが、それでも色々と発見がありました。
この一か月の中で個人的にターニングポイントになったのがこのスケッチ。
なぜかというと、このスケッチはすごく大まかにしか描いてないのに、ちゃんと後ろ姿にみえる気がするんです。それが自分のなかではハッとしたことで。
「大きなシェイプをしっかりとらえれば、それだけで成立するのか」と学んだ瞬間でした。
情報としては知ってたけど、やっと腹落ちしたというか。もともとiPhone+指では細かなものを描くことはできないので、より実感しやすかったんだと思います。
それ以降、このスタイルで描くときは大まかなシルエットをとるのに時間をたくさん使うようになりました。最初の時点でそれらしく見えなければ、その後どう頑張っても良くならない。これは紙やiPadで描くときにもすごく意識するようになりました。
iPhoneスケッチは面白かったんですが、1か月たったぐらいで紙とiPadが恋しくなり、いったん終了。
中断期
2023年3月~
春頃は忙しくて、スケッチの頻度が減ってしまいました。
何をしていたかというとスケッチ本を作ったり、、、
(まだちょっと在庫ありますので是非!)
ウォーキングスケッチ展という展示の準備などをしていました。
それでも描いてはいたんですが、ほとんど風景スケッチなので割愛します。
モヤモヤに向き合う期
2023年6月~
スケッチ再開!しかし、、、
バタバタした時期が過ぎて6月頃でしょうか。人スケッチを再開してみます。しかし何だか楽しくない。飽きてるのかな?と感じたのでいつも通り画材を変えてみます。今回は色鉛筆。
なんかモヤモヤする、、。
以前𝕏にも描いたんですが気分が乗らないなら描かなくていいと思うんです。だれに強制されてやっているわけでもないですし。
でも今回は、描きたい気持ち自体はあるんです。描きたいのに気分が乗らないという状態。矛盾してるようですが素直にそう感じました。
これは飽きてるのか、惰性で続けてしまっているのか、自分でも謎です。でもこの状態があまりよくない、ということだけはわかります。
しばらくこういう時期が続いているので、原点に立ち返っていろいろ考えてみることにしました。
「なぜ」を考えてみる
まず考えたのは、
「そもそもなぜ人のスケッチを始めたんだっけ?」ということでした。
始めた理由は「人を描くのが苦手という状態を抜け出したかったから」です。これは以前の記事で詳しく書きました。
そしてこの時点で苦手意識は消えていました。つまり以前建てた目標は達成した状態。目標を達成したのに、なぜ続けているんだろう?
これはもしや飽きているのではなく、目標が無いからどこに向かってよいかわからなくなってる、、、のかもしれない?
楽しむために必要なもの
そもそも目標って必要なのかという話なんですが、これは人によって違いますよね。
なのであくまで僕個人の話なんですが、なにをするにも「これを達成したい!」という目標みたいなのがあった方が楽しめる傾向にあります。
どうやったら目標とした状態になれるんだろうと考えてた方が、うまく描けなかった日でも分析して改善することができて、プロセスとして楽しめる。
でも目標が無くてうまく描けなかった日は「ただうまくいかなかった日」のように感じちゃうんですよね。(そんなことはないはずなんですが、そう感じてしまう。)
考えれば考えるほど、今の自分に必要なのは目標なのでは、となってきます。
楽しめない原因がなんとなくわかったとはいえ新たな目標なんてそんなに簡単に定まらず、、、。(「苦手意識を消したい」だって10年越しくらいのものだったし)
見つからないままとりあえず描き続けます。
でも数日やってみてすぐに
「あっこれダメだ、全然楽しくない。嫌いになっちゃう。」と感じたので、人スケッチは一旦お休みにします。
そして夏の間は風景ばっかり描き続けます。風景なのでこちらも割愛。
描いてない間にしていたこと
このお休み期間はなにをしていたのかというと、自分の好みを深ぼるためのリストを作っていました。
あんまりスケッチにこだわらず、自分ってどんな絵が好きなのかをもう少し知りたかった感じです。なので色んなアーティストの絵を並べて、その中でも特に好きなものを見つけてみたり、なぜ好きなのか考えてみたり。自分の好みをもっと知るための期間にしました。
いい絵を見つけてはリストに足して見比べて、、そんなことを2か月くらい繰り返していると少しずつ描きたい絵(目標)が明確になってきました、、!
目標を得て再び進み始める期
2023年10月~
この記事を書くために自分の𝕏を振り返っていると、こんなポストを2023年10月にしていました。
やっぱり当時しんどかったんだなーと。笑
ただ、秋頃になると夏の間にやっていた自分の好みの確認の甲斐あって、自分のスケッチをこうしたい、というのが以前よりは少し明確になっていました。
このころ自覚していたざっくり目標(好み)はこんな感じ
シンプルに描く
手数(ストローク数)を必要以上に増やさない
見るべきところがわかりやすい
大きなシェイプで伝わるようにする
iPhoneスケッチで学んだやつ
見た人が楽しくなる
めちゃめちゃざっくりで、自分でもわかっていないことも多いです。笑
なので「シンプルさって何だろう?」「見た人がどうしたら楽しく感じる?」とずーっと考えていくことになります(今でも)。
ただ、これだけふんわりとした目標でも効果はあるもので、描きあがったものに対して「あんまりシンプルに見えない。線が多すぎるから?もう少しストローク数減らすように次回はやってみるか」という感じで日々考えるのが楽しくなってきます。
そのころのスケッチはこんな感じで、、
まだまだ描きたいものからは遠いんですが、目指す先がなんとなく見え始めたことで少しずつ数を描けるようになります。やっぱ足りないものはこれだったんだなと!
とにかくゴリゴリに描く期
ほぼ一年越しに気持ちが乗ってきたのでゴリゴリたくさん描きます!2023年の最後の一か月!
最後の3枚は結構気に入ってます!ここまで描いたところで2023年は終了。ラスト一か月以外は、ずーっとモヤモヤとしたフラストレーションのたまる一年でした。笑 12月にやっと楽しめるようになって良かった。
再度目標設定する期
2024年1月~
再び分析してみる
年は開けて2024年。
昨年の試行錯誤で目標があった方が楽しく続けられるということはわかりました。そして自分の好みや向かいたい方向も少しだけわかってきました。なので今度はその目標の精度を少し高くしたくて、再び考える時期に入ります。
とりあえず前年のスケッチを見直して、どれが一番理想に近いかなーと考えてみました。そして目についたのがこれ。
人のスケッチかと聞かれると怪しいですが、なんか良いなと。
これの気に入ったところを自分なりに分析しながら目標をもうすこし詰めた結果、新たにいくつか項目が加わりました。
シンプルに描く
手数(ストローク数)を必要以上に増やさない
見るべきところがわかりやすい
大きなシェイプで伝わる
iPhoneスケッチで学んだやつ
見た人が楽しくなる
感覚的に伝わる (NEW)
~が描いてあるからこういう状況、というロジカルな思考無しに伝わる
線自体のリズムが楽しそうだから楽しそうな絵に見える、的な
心地のいいゆがみがある (NEW)
線のゆがみや塗りのはみ出し方が心地よい
どういうものが心地よいかはまだわかってない
ペンの持ち方や描く態勢にもかかわってくる
当面はこれを目指していくことになりそうです。
絵以外からの影響
先ほど挙げた項目、どんどん感覚的な話になっていくんですが、今思い返せば明らかに絵以外からの影響を受けてまして、、、
この分析をしていた期間、実は音楽を作ろうと試みていました。
音楽の知識も経験も全くないので、インターネットで「ヒップホップのドラムの構成はこうらしいぞ」というのを調べて打ち込みました。メロディは片っ端から鍵盤を押して「この音とこの音つなげると心地いい!」というのをひたすら探して作りました。そして2週間頑張ってできたのがこれ。
これがどうスケッチの好みに影響したのかというと、、
知識がないから感覚でやるしかなかった
「何となく気持ちいい音」など、すごく感覚的なものだけど確かに存在することを実感した
これまでスケッチでは言葉で表せるものしか取り入れようと思ってなかったけど、もっと感覚的な良さを絵に求めたくなった
という経緯でした。
再度描く
理想の状態とはまだまだ離れてますが、目標が定まってるのでとりあえず描きます!
やっと目標に近づく期
2024年4月~
急にコツを掴む
4月の終わり、GWの始まりくらいから急にコツを掴んで描きたい方向に向かえるようになった気がします。その時のスケッチがこちら。
だいぶジャズバーの時の絵に近づいてきたのでは、、!? このころは難しいこと考えずに筆が進むようになってきたことを覚えています。
そしてある日、、、
待ち合わせの場所の近くにあったステージで吹奏楽の団体がリハーサルをしていました。待ち合わせまで10分程度だったんですが、どうしても描きたくて短い時間で描いたら↓のスケッチができました。
これ!こういう風に描きたかった、、!と初めて自分で思えたスケッチです。この方達とにかくカッコよかったんですが、感覚的に、心地いいゆがみをつかって描けた気がします。
短時間で描かなきゃいけなかったのもうまくいった要因かと思います。じっくり描こうと思うと固くなっちゃうことも多いので。笑
毎回うまくいくわけじゃない
それでも毎回うまくいくわけではなくて、これはまた少し硬くなった気がしますし、、
これは狙いすぎてなんか人工的な感じがします。
それでも描き続けてみます。
まだまだですが、以前よりずっと自分の好きな感じに描けてます。
これは気に入ってます!
この電車待ちのやつは結構よいのでは、、?シンプルには描けた気がする。
という感じに2024年の4月~6月は過ぎていきました。
この辺りはとにかく力を抜いて描く意識で、ペンを緩く持ったり不安定な手持ちで描いたりとひたすらトライしてみました。この後のまとめで比べてみますが、結構変化があったのではないかと思います。
まとめ
苦手意識を克服したら、今度は目標を見失って楽しくなくなるという壁が待ってました。笑 特に楽しくない理由がわからなかった時期はほんとにモヤモヤしてました。
楽しむための目標
これは人によると思いますが、僕はある程度目標があった方が楽しいなと思いました。目標があった方が失敗を楽しめる、目標がないとただの失敗した日と感じてしまう、というのは結構自分にはあるので、程よく目標を持っておきたいなと!
好みの把握
自分の好みやテイストってその時々で変わることもありますし、時々振り返るのは結構大事だなと思いました。特に自分ではわかっているつもりになりやすいですし。
記事の中で好きな絵を並べて観察してみた話をしましたが、好きだったはずの絵を改めてほかの絵を見比べてみたときに「あれ、今見ると以前ほど惹かれないぞ」となることも多かったです。
スケッチは仕事じゃないですし、どうせなら自分の好きな絵を描けるようになるためにもその時々で自分の好みを少し把握してた方が楽しいなと。
絵の変化
モヤモヤしてた期間は、いろんなことを考えるきっかけにもなりましたし、改めて好みを把握しなおしたらスケッチ自体もかなり変わった気がします。
似たスケッチを比べてみるとこんな感じ。
人によって好みは違うのかもしれませんが、少なくとも僕は今の方が好きなので、この一年半は無駄じゃなかったのかなと思います!
変化を楽しむ
たぶん、今回のようなことってほかの人から見たら「絵柄変わったね」くらいな変化です。
でもその中には描いてる本人の意識の変化があって、それが絵に反映されています。意識なんてまたすぐ変わるだろうし、これからどこに向かうかもわからないのですが、何年か経って見返したときに「この時はこう思ってたんだなぁ」と自分の絵を見て振り返れるのは楽しいことだなと思いました!
おまけ
記事を書くのに時間がかかったせいで、載せられるスケッチが一枚増えました!笑 雨の日の渋谷で描いたものです。
それでは今回の記事はこれでおしまいです。長い記事でしたが、最後まで読んでくれてありがとうございました!